2010 Fiscal Year Annual Research Report
BMP受容体欠損マウスにおける肝細胞の損傷修復機構
Project/Area Number |
20590282
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
佐藤 建三 鳥取大学, 医学部, 教授 (40113196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 直裕 鳥取大学, 医学部, 准教授 (80263466)
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Keywords | 肝障害 / 損傷修復 / BMP遺伝子発現 / コンディショナルノックアウト / 細胞増殖マーカー / BMPプロモーター |
Research Abstract |
肝臓は自己再生能力の強い臓器であるため、肝臓移植においては残存の肝臓細胞の同調的な増殖と分化によって急速な修復が引き起こされる。また、アルコール性肝臓障害においても急速な肝臓修復が観察される。本研究においては、肝障害初期過程で一過性に誘導されるBMP-2が、肝細胞損傷の修復過程で重要な役割を果たしていると考え、(1)BMPsが肝臓内のどの細胞種により、どのようなメカニズムで産生され、(2)未分化型肝細胞の分化・成熟にどのように関与しているのかどうかを、BMP受容体のコンディショナル・ノックアウト・モデル動物およびBMPs発現レポーター・トランスジェニックマウスを用いて分子生物学的手法により解析した。その結果、アデノウイルスベクターによりBMPフロックスマウスの肝臓にCre遺伝子を発現させ、CC14肝臓障害を誘導すると、コントロールではCC14投与後24時間で損傷が誘導され、72時間で修復が見られた。BMPR1A KOマウスでは、アルブミン遺伝子発現など修復の遅延が観察された。さらに、細胞増殖マーカーPCNAの発現レベルはノックアウトマウスで低下していた。以上のことから、BMPシグナルが肝臓障害の細胞増殖の誘導を介して、損傷修復過程に関与することが示された。BMP発現細胞を同定するため、BMPプロモーター10kbをルシフェラーゼ遺伝子上流に結合し、受精卵雄性前核に導入し、トランスジェニックマウスを作成した。このマウスの解析によりBMP発現細胞が生体組織において確認されると期待される。
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