2010 Fiscal Year Annual Research Report
DjA2 KOマウスの示す酸性オルガネラ内腔pH調節異常の分子基盤の解明
Project/Area Number |
20590287
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
寺田 和豊 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (00253724)
|
Keywords | 分子シャペロン / HSP40 / ノックアウトマウス / 酸性オルガネラ / pH |
Research Abstract |
呼吸器系細胞機能に異常を示したDjA2のノックアウト(KO)マウスは、肺胞2型細胞や肺胞マクロファージで、リソソーム系酸性オルガネラ内腔のpH上昇を示した。この異常なpH上昇は、アミロリド系の阻害剤によりpH=4.0まで回復し、所要時間も10-20秒程度の速い反応であった。平成22年度は以下の結果を得た。 1.新生仔および3ヶ月齢の肺組織より全RNAを抽出し、DNAマイクロアレイ解析を行った。顕著な量的変化を示す遺伝子が存在したものの、リソソーム系酸性オルガネラ内腔のpH恒常性に関与すると考えられる遺伝子群に大きな変化はみられなかった。 2.DjA2のKOマウスは、C57B1/6とDBAの混在した遺伝的背景をもつ(マウス作成に使用したES細胞の遺伝的背景)。このため出生時にみられた致死性の浸透度は100%でないと考えられた。そこでC57B1/6に13代戻し交配し、コンジェニック系統を樹立した。その結果、コンジェニックなDjA2 KOマウスは出生時に全て致死となり、C57B1/6マウスにおいてDjA2は必須遺伝子であることが明らかとなった。 3.前年度の分子間相互作用解析を指標として、新生仔の肺組織で免疫共沈実験を行った。可溶化の際には2価性架橋剤を加え、DjA2と標的因子との複合体を安定化させた。複合体をゲルから抽出し、プロテオーム解析を行ったところ、nucleolinやZn-fingerタンパク質、アダプチン等が同定された。この結果をもとに、酸性オルガネラ内腔のpH恒常性を細胞レベルで明らかにする。
|
Research Products
(2 results)