2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨のリモデリングと造血代謝の相互作用に関する分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
20590289
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中山 ゆかり (六車 ゆかり) 東海大学, 医学部, 研究員 (80398750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 潔 東海大学, 医学部, 教授 (70176014)
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Keywords | Notch / niche / 造血恒常性 / 骨代謝 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
本研究の目的は、Notchシグナルが担っている骨代謝と造血代謝維持における具体的な作用機序を特定することである。前年度までに作成された、Notch受容体のリガンドであるJagged1(J1)とDelta-like ligand 1(D1)の遺伝子改変マウスを用いて、Notchシグナルが1)骨代謝と2)造血恒常性において果たしている役割を明らかにしたので以下に示す。 1) 骨代謝におけるNotchシグナルの役割 a)骨芽細胞特異的に【D1】を過剰発現させたマウスの骨髄の組織標本では、一見して明らかな骨量の増加が認められた。詳細に観察すると、石灰化した骨が形成されていない、通常は血液細胞が存在している部分が、線維芽細胞様の細胞で占められていた。b)それら細胞は、免疫染色により、osterix陽性の骨芽細胞であることが明らかとなった。c)そのosterix陽性骨芽細胞は、細胞増殖マーカーki67が陽性であり、活発な増殖期にあることが分かった。d)一方で、破骨細胞には変化が見られなかった。e)以上より、Delta-like ligand1を介したNotchシグナルは、骨芽細胞を増殖させる役割があると思われる。 2) 造血恒常性におけるNotchシグナルの役割 a)Notchリガンド欠損マウスは、定常状態では骨形態や造血機能に明らかな変化は見られない。b)しかし、骨破壞後の骨と骨髄環境の再構築に大幅な遅れが見られ、造血細胞の回復も著明に遅延していた。c)このことから、Notchシグナルは骨代謝を正常に保ち、造血幹細胞のニッチの供給を制御することで、間接的に造血恒常性の維持にかかわっていると思われる。
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