2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590292
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Research Institution | Kagawa Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
古山 達雄 Kagawa Prefectural College of Health Sciences, 教養部, 教授 (20238702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 忍 大阪大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90151571)
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Keywords | 転写因子 / 血管新生 / 網膜 |
Research Abstract |
生後におこる血管形成過程は必ずしも個体の発達過程でみられる血管形成機構をそのまま繰り返しているわけではない。そのため腫瘍や糖尿病性網膜症などで既存の血管系からどのように新生血管が現れてくるかをあきらかにすることは新たな治療手段の開発につながる可能性がある。FOXO1は個体の発達過程でみられる血管形成に必須であるが、生後の血管新生にも関与するのか、そして関与する場合に発達過程での機能と何が違うのかは必ずしも明確になっていない。このことを明確にする目的で昨年度に引き続き網膜血管の形成過程などをTie2-CreによりFOXO1を生後に欠損するマウスを用いて検討した。最初に昨年度問題となっていたタモキシフェンによる血管形成への影響がどの程度あるのかを検討した。その結果腫瘍細胞の植え込み実験、およびシリコンチューブの埋め込み実験においてはコントロールとして野生型マウスにタモキシフェンを投与した場合にも強い血管形成抑制効果がみられるためFOXO1欠損の影響を見ることができなかった。しかし網膜血管の形成過程を追う場合には、野生型マウスにタモキシフェンを投与したものとコーンオイルを投与したものの間で網膜の血管伸長に有為差が認められないことから問題なく使えることが分かったので、以降は網膜の血管新生過程に焦点をあてて実験を進めることにした。その結果以下の2点が明らかになった。(1) FOXO1の発現抑制により網膜血管の伸長が有為に抑制される。(2) FOXO1の発現抑制によりペリサイトによる血管の被覆過程に異常が認められる。最終年度において、それぞれの表現型が生じる原因を明らかにするためtip細胞の形態とそれに関与する分子の発現変化、ペリサイトの被覆に関連する分子の発現変化について詳細に検討する予定である。
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