2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590292
|
Research Institution | Kagawa Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
古山 達雄 香川県立保健医療大学, 教養部, 教授 (20238702)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 忍 大阪大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90151571)
|
Keywords | 転写因子 / 血管新生 / 網膜 |
Research Abstract |
FOXO1は個体の発達過程でみられる血管形成に必須であるが、生後の血管新生にも関与するのか、そして関与する場合に発達過程での機能と何が違うのかは必ずしも明確になっていない。このことを明確にすることを目的として網膜血管の形成過程をTie2-CreによりFOXO1を生後に欠損するマウスを用いて検討した。この中で、FOXO1は血管の伸長過程だけでなく、FOXO1の発現抑制をおこすとペリサイトによる血管の被覆過程にも異常がおこることを見いだした。FOXO1が転写因子であることを考慮して、この表現型が生じる原因を明らかにするためペリサイトの被覆に関連する分子の中で発現変化をおこしているものがないか検討を加えた。ペリサイトの血管内皮細胞への遊走を促進する分子として最も重要であるPDGF-Bの発現量は、FOXO1を欠損した網膜においてコントロールの1/3程度まで有為に低下していた。またPDGF-Bの発現部位はtip細胞に限局していることも確認された。さらにFOXO1により転写調節されるang2についても、これまでの報告と一致してFOXO1欠損によりコントロールの1/3程度まで発現低下していることが確認された。同時にang2の発現部位もまたtip細胞に限局していることが新たに見いだされた。しかしtip細胞に発現することが知られているD114はFOXO1を欠損させても、その発現量に有為な変化が認められなかった。PDGF-Bの発現量が半分以下に低下するとペリサイトの血管被覆過程に異常が認められることが報告されていることから、少なくともFOXO1の欠損により生じるペリサイトの血管被覆過程の異常の一部は、PDGF-Bの発現の低下によるものと考えられた。今後、PDGF-Bの発現がFOXO1により直接的に転写調節を受けているか否かを明らかにしていく予定である。
|