2009 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウトマウスを用いたATF2遺伝子ファミリーの機能解析
Project/Area Number |
20590294
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
前川 利男 The Institute of Physical and Chemical Research, 石井分子遺伝学研究室, 副主任研究員 (90201764)
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Keywords | ATF-2遺伝子ファミリー / ATF-7 / CRE-BPa / 行動異常 / HTR5B / p38阻害剤 / PPARγ2 / 肥満予防 |
Research Abstract |
私はATF-2遺伝子ファミリーメンバーのノックアウトマウスを用いて、ATF-2遺伝子ファミリーメンバーのマウス個体での生理学的な役割を研究している。本研究では、以下の事を明らかにした。 1)ATF-7遺伝子欠損マウスは体重が10%程減少するが、それ以外の形態学的な異常が認められないので、行動を解析した。その結果、音響驚愕実験とPPI及びビー玉隠し実験で異常を示した。 脳幹部でのマイクロアレーを用いた発現解析から、背側縫線核でのセロトニンレセプター5B(HTR5B)の過剰発現が行動異常の原因である事が明らかに成った。そこで、HTR5Bのアンタゴニストを投与すると期待通り行動異常は緩和された。 2)p38-ATF-7の経路がどのようなメカニズムでHTR5Bの発現制御を行い、行動異常に繋がるのかそのメカニズムを解析した。その結果、ATF-7はmAMを介してヒストンメチル化酵素ESETをリクルートしている事を免疫供枕実験で確かめた。ATF-7遺伝子欠損マウスではピストンH3K9のトリメチル化が低下する事からHTR5Bの発現の亢進が起こる事が明らかに成った。 3)ATF-2^<+/->CRE-BPa^<+/->のダブルヘテロ欠損マウスはやせ形の表現系を示し、脂肪の量が減少していた。原因を探るためにMEFを用いてin vitroで脂肪細胞への分化実験を行った結果、ATF-2とCRE-BPaがPPARγ2のCREに結合してこの遺伝子の発現を促進している事が分かった。 そこで、ATF-2ファミリーの上流で働くp38の阻害剤をマウスに経口投与した結果、体重の増加が40%以上抑制されることが明らかになった。以上の事から脂肪細胞の分化にはp38-ATF-2経路が関与する事が明らかに成った。 以上の結果から、p38の阻害剤を用いれば肥満の予防に役立つ事が明らかに成った。
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Research Products
(5 results)