2010 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウトマウスを用いたATF2遺伝子ファミリーの機能解析
Project/Area Number |
20590294
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
前川 利男 独立行政法人理化学研究所, 石井分子遺伝学研究室, 副主任研究員 (90201764)
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Keywords | ATF-2遺伝子ファミリー / ATF-7 / ヘテロクロマチン / トリメチル化ヒストンH3K9 / ATF-7複合体 / DNA修復酵素 |
Research Abstract |
ストレスで活性化される転写因子ATF-2遺伝子ファミリーメンバーはATF-2とCRE-BPa及びATF-7の3つのメンバーから成るが、今回主にATF-7の生理学的な役割をマウス個体から調製したMEFを用いて調べた。これまで、ATF-7 KOマウスの解析から、ATF-7は神経細胞においてヒストンメチル化酵素ESETと複合体を形成して、ヒストンをメチル化することによって転写を抑制していることを明らかにしてきた。そこで今回、ATF-7がヘテロクロマチン形成に関わる因子であることを確かめるために、野生型マウスとATF-7 KOマウスからMEFを調製して、ヘテロクロマチンの指標であるヒストンH3K9のトリメチル化の程度を測定した。その結果、ATF-7 KOマウス由来のMEFではヒストンH3K9のトリメチル化の程度が15%程度低下していることがわかった。この低下はセントロメア近傍とテロメア近傍の両方のヘテロクロマチンにおいて認められた。 また、野生型マウス由来のMEFにおいてもストレス刺激を与えるとヒストンH3K9のトリメチル化の程度が減少することを見出した。 以上から、ATF-7がヘテロクロマチン形成に関わる因子であることが確認できた。 次に、このヘテロクロマチン形成のメカニズムを解析するために、ATF-7複合体をヒトのHeLa細胞から精製した。その結果、ATF-7はKu70やKu80、DNA-PKと生理的な条件で複合体を形成しており、ストレス刺激によってATF-7がリン酸化されるとKu70やKu80との複合体は解消することが明らかになった。Ku70やKu80、DNA-PKはDNAの修復酵素として知られるが、この結果から、ストレスで活性化される転写因子とDNAの修復酵素がヘテロクロマチン上でカップリングしていることが明らかになった。 この他にも、ATF-7はHP1やヒストンシャペロンのTAFIと複合体を形成して、転写を抑制していることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)