2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン感知性Gタンパク質共役型受容体TDAG8による生体制御
Project/Area Number |
20590305
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 聡 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10300815)
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Keywords | プロトンセンサー / 破骨細胞 / 骨代謝 |
Research Abstract |
細胞外PH感知性受容体TDAG8はGタンパク質共役型受容体の一種であり、細胞外PHの低下に伴い活性化されることは私どもが以前に報告した(Ishii. S., Kihara, Y., and Shimizu, T. (2005) Identification of T cell death-associated gene 8 (TDAG8) as a novel acidsensing G-protein-coupled receptor. J. Biol. Chem. 280, 9083-9087)。TDAG8は破骨細胞に発現が高いが、その生体機能は不明のままである。そこで私はTDAG8欠損マウスを用いて、卵巣除去後に惹起される骨粗鬆症様の病的な骨吸収現象にTDAG8が及ぼす影響を調べた。卵巣除去後のマウスの骨密度を調べると、TDAG8欠損マウスではコントロールマウスに比べ有意に低下していた。さらにin vitroの実験で、TDAG8欠損マウス由来の破骨細胞はコントロールマウスの細胞に比べ、より多くのカルシウムを吸収することが明らかとなった。破骨細胞の分化は酸性条件下で抑制されるが、TDAG8の欠損によりこの分化抑制はある程度解除された。一方、分化した破骨細胞の培地を酸性化すると、TDAG8-Rhoシグナル経路依存的に細胞が収縮した。以上の結果は、TDAG8が細胞外のPHを感知して、破骨細胞の分化及び機能を抑制することを強く示唆する。TDAG8の機能を促進することは、骨粗鬆症などの骨吸収を伴う疾患の新規治療法になるかもしれない。
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Research Products
(8 results)