2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体内における化学療法・放射線治療による形態学的癌細胞死のリアルタイム画像検証
Project/Area Number |
20590307
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
白井 寿治 Kanazawa University, 医学系, 助教 (20397186)
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Keywords | がん細胞 / 形態学的細 / リアルタイム / GFP / RFP / in vivo / 紫外線 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、核が緑色蛍光蛋白(Green Fluorescent protein ; GFP)、細胞質が赤色蛍光蛋白(Red Fluorescent protein ; RFP)で標識された2色の癌細胞を用いて、細胞死の形態的変化をリアルタイムに観察した。昨年度は抗癌剤を使用しin vivoでの癌細胞死の形態を観察したが、本年度は紫外線を照射して癌細胞の細胞死を誘導し、どのような形態学的変化が生じるかを観察した。また、照射する紫外線の波長の長さや照射時間を変えることでどのような変化が生じるかも観察した。観察できた細胞死の形態としては、(1)核・細胞質とも形を維持しながら分離する(2)細胞質が分解され核が取り残される(3)核がリング状になる(4)核・細胞質ともに断片化し分散していく(5)核だけが凝集し細胞質が丸く膨張する(6)核小体の一部と細胞質の一部が一緒になって細胞からちぎれていく、などが観察できた。これらの細胞死は、紫外線照射後に徐々に進行していくのではなく、突如として始まり短時間のうちに終了する事がリアルタイムの観察で明らかになった。また、癌細胞の種類や紫外線の波長に依存して細胞死の形態に特徴があることもわかった。 昨年度の抗癌剤を用いた実験ではネクローシスとアポトーシスのみにしか分類されていない形態学的細胞死の中に更に異なる形態変化を確認したが、本年度の実験からは更に細胞の種類や治療媒体の性質によって細胞死の形態変化に特徴があることが分かった。また紫外線はその波長に依存して哺乳類細胞に種々の影響を与える事が報告されており、癌細胞においても同様のことが起きているものと推測できる。今後は、作用点の違う抗がん剤・異なる癌細胞種を用いて更に異なる形態の細胞死がないかデータを蓄積していくと共に、これまでのデータをもとに細胞死の新たな分類化を進めていく予定である。
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