2010 Fiscal Year Annual Research Report
Rhoファミリーシグナル伝達系分子を対象とした疾患関連遺伝子の探索と解析
Project/Area Number |
20590308
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
天野 睦紀 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90304170)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貝淵 弘三 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (00169377)
|
Keywords | シグナル伝達 / 循環器 / 冠攣縮 / Rhoファミリー / キナーゼ / 精神疾患 |
Research Abstract |
本研究ではヒト疾患(循環器疾患や精神疾患等)の発症に関わる低分子量GTPase Rhoファミリーシグナル伝達系分子の同定とその分子基盤を明らかにすることを目的としている。既にRhoファミリーメンバーのRacの活性抑制因子であるARHGAP9のSNP (Ala370Ser)が、薬物誘発性冠攣縮と関連が認められることを見出している。 Racは細胞の遊走以外にも活性酸素種(ROS)の産生を制御していることが知られている。本年度は、ROS産生に対してARHGAP9のSNPによる違いがあるかを検討した。その結果、SNP領域を含むARHGAP9フラグメントの過剰発現によりROS産生に抑制効果が見られたもののSNPによる有意な差は認められず、SNPの疾患への関連は他の機序による可能性が考えられた。 本年度はまた、Rhoファミリーの下流のキナーゼの基質の探索と同定を行った。Rhoファミリーの下流には Rho-kinaseやPAK, aPKCなど複数のキナーゼが存在し、それぞれ疾患への関与が示唆されている。Rhoファミリーとこれらのキナーゼがどのように疾患の発症や進展に寄与するかを解析するために、プロテオミクスの手法を用いて基質の網羅的解析を試みた。Rho-kinase, PAK7, aPKC, PKNについてそれぞれ多数の新規基質候補を得ており、さらにその一部についてはin vitroでのリン酸化を確認した。Rho-kinaseについては細胞骨格を構成する分子が、またPAK7については低分子量GTPaseの活性化因子や活性抑制因子が多数得られ、それぞれのキナーゼの機能を予測する上で有用であると考える。
|
Research Products
(4 results)