2008 Fiscal Year Annual Research Report
APC活性化因子cdh1を介した細胞移動・浸潤制御の可能性に関する研究
Project/Area Number |
20590315
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
國仲 慎治 Keio University, 医学部, 助教 (10404336)
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Keywords | 癌 / 浸潤転移 / APC / C / Cdhl / TGC / TSC |
Research Abstract |
癌細胞の浸潤機構の一端を解明するため、生理的に癌細胞と同様な浸潤能を持つと考えられている胎盤のTrophoblast giant cell (TGC)における浸潤制御機構の解析を目的とした。胎盤構成細胞の一つであるTGCは分化に伴い浸潤能を獲得して子宮への着床や胎盤血管の形成などに重要な役割を果たしていることが明らかになっている。 我々は細胞周期制御に重要なユビキチンリガーゼ複合体anaphase promoting complex (APC)の活性化因子Cdhlの生理的役割を明らかにする目的でCdhl gene-trap (GT)マウスを解析し、ホモGTマウスがTGCに特徴的な巨大核の消失を伴う胎盤異常を呈し、胎生13.5日齢までに死亡することを明らかにした。In situ hybridizationにより、胎盤におけるTGC特異的マーカー(plf)の発現を検討すると、ホモGT胎盤では陽性細胞の頻度が減少していることを見出した。Cdhlの分化に与える影響を全ての胎盤構成細胞へ分化可能なtrophoblast stem cell (TSC)を樹立してin vitroでも検討した。野性型TSCをTGCへ分化させると、TGCマーカー(plf, pl-I)の発現が経時的に上昇したが、ホモGT細胞では顕著に発現が減弱していることが分かった。さらにtetraploid aggregation assayを用いて胎盤は正常で胎児のみホモGTとした場合、胎生13.5日以降も生存可能であることから胎盤機能不全が胎生致死の直接の原因であることが明らかになった。これらの結果から、Cdhlが胎盤機能に重要な役割を果たしていると共にTGCの分化を介してその浸潤能などを制御している可能性が示唆された。
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