2010 Fiscal Year Annual Research Report
APC活性化因子cdh1を介した細胞移動・浸潤制御の可能性に関する研究
Project/Area Number |
20590315
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
國仲 慎治 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10404336)
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Keywords | Cdh1 / APC/C / Rho / p190 |
Research Abstract |
Cdh1欠失の細胞骨格に与える影響が、細胞移動能におよぼす効果を検討するためにtrans-well chamber assayを行った。HeLa細胞を用いRNAiでCdh1の発現を抑制させると、対照に比べ明らかに細胞移動の低下が見られた。しかし、Cdh1と同時にp190RhoGAPもノックダウンすると、その低下を正常レベルまで改善出来たことから、Cdh1がp190を介して細胞骨格の制御に影響を与えていることが強く示唆された。これまでp190の活性制御としてsrcキナーゼによるリン酸化がよく知られているが、上記研究からp190の蛋白量自身も活性調整のために重要である可能性が考えられた。そこで、HeLa細胞においてp190のRNAiを行い経時的にp190蛋白量の減少をモニターしつつ、それらの細胞におけるp190の活性をストレスファイバー形成能より検討してみた。その結果、P190の減少と共にストレスファイバーの形成が増加することが解った。さらにGFP-p190を一過性に強制発現させると、GFP陽性細胞において非陽性細胞に比べ顕著なストレスファイバー形成の減弱が認められた。これらの所見から、p190の活性制御に自身の蛋白量が重要な役割を果たしていることが示唆された。最後にCdh1のp190を介したRho活性制御の生体における意義を検討する目的で、Cdh1ホモGTマウスの発生異常を詳細に観察してみたところ、胎盤の血栓形成や胎児の眼瞼閉鎖遅延などRhoの重要な下流因子であるRho-kinaseノックアウトマウスと非常によく似た表現型を呈していることが分かった。またCdh1ホモGTマウスでは中枢神経系を中心にp190蛋白が蓄積していることも見出した。これらの結果を総合して、Cdh1がRho活性の新しい制御因子であることが明らかになった。
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