2009 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質相互作用解析による癌抑制遺伝子BRCA1の細胞周期制御分子機構の研究
Project/Area Number |
20590318
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
呉 文文 St.Marianna University School of Medicine, 医学部, 助教 (10434408)
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Keywords | G2 / Mチェックポイント / Chk1 / Claspin / 細胞周期 / BRCA1 / DNA修復 |
Research Abstract |
本年度の研究内容 1.HERC2蛋白のG2/Mチェックポイント機構制御メカニズムを検討した。 2.HERC2蛋白がBRCA1のユビキチンリガーゼ活性に与える影響を解析した。 本年度の研究結果 前年度において、HERC2はBRCA1のユビキチンリガーゼであることを明らかにした上で、BRCA1が司っている細胞周期のG2/Mチェックポイント制御機構に機能していることを明らかにした。本年度では、その制御メカニズムの解析を行った。 G2/Mチェックポイント活性化因子であるChk1を制御しているClaspinの安定性について解析を行った。BARD1欠失によるBRCA1の機能不全はClaspinの蛋白質分解を誘導して、Chk1活性化を抑制し、G2/Mチェックポイント応答不能を誘発する。HERC2蛋白を除却することにより、Claspinが再び安定状態に戻り、G2/Mチェックポイント応答が回復する。HERC2蛋白はBRCA1をユビキチン化して、SCF^<ss-TrCP>複合体依存的なClaspin分解機構を制御していることと考えられる。 Claspinの不安定化でBARD1のリン酸化が誘導される現象が起きた。BARD1がリン酸化されることによって、BRCA1のユビキチンリガーゼ活性が抑制された。HERC2蛋白を除却することにより、Claspinの不安定化によるBARD1のリン酸化誘導が解除され、BRCA1のユビキチンリガーゼ活性が保たれた。よって、HERC2蛋白はClaspin分解機構を制御している同時に、BARD1のリン酸化レベルをコントロールし、BRCA1のユビキチンリガーゼ活性を制御していると考えられる。 研究結果の意義 本年度の研究結果で、BRCA1のG2/Mチェックポイント制御分子機構に新たな見解を見出した。これをターゲットとする新規抗癌剤開発に新しいアプローチするのに理論的根拠を提供できる。
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Research Products
(2 results)