2010 Fiscal Year Annual Research Report
TGFシグナル系と細胞外マトリックスの異常が引き起こす疾患群の発症機序の解明
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20590331
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
木下 晃 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (60372778)
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Keywords | Camuratii-Enelmann Disease / Marfan syndrome Type II / transforming factor / TGF receptor type II / 細胞外マトリックスタンパク質 / モデルマウス / キメラマウス |
Research Abstract |
報告者は過剰な膜性骨化を主症状とするCamuratii-Engelmann Disease (CED)がTGFB1の突然変異で発症すること(Nature Genetics, 2000)と全身の結合組織の脆弱性による骨格、心血管異常を主症状とするMarfan syndrome type IIの原因遺伝子がTGF receptor type IIであることを報告した(Nature Genetics, 2004)。本研究の目的は、Transforming Growth Factor(以下TGF)シグナル系の異常でおこる疾患群の発症機序の解明である.特に細胞外マトリックス(extracellular matrix;以下ECM)との関係に着目して研究を行った (1)モデルマウスの作製:Tgfb1とTgfbr2に患者で同定された変異を導入したマウスの作製に引き続き取り組んだ.変異Tgfbr2をヘテロに持つES細胞からはキメラマウスが誕生せず、変異Tgfbr1をもつES細胞から誕生したキメラマウスはこれまで同様、不妊であった.解剖を行うと未熟な精巣や精巣の形態を失い卵巣様化していた.Tgfb1およびTgfbr2に変異を導入したES細胞やそれに由来するマウス生殖細胞では妊性を失うのかもしれない.2011年Cell誌に、骨基質であるオステオカルシンが、性ホルモンとして作用するとの報告があった.TGFシグナルはオステオカルシンの産生を抑制することも知られており、作製したキメラマウスでもTGFシグナルの亢進により過剰な産生抑制がおこっている可能性が考えられる (2)ECMタンパク質の定量:変異TGFBR2安定発現細胞ラインを作製し、ECMタンパク質のmRNAの発現量を定量した.しかし、これらの安定発現細胞での発現量の有為な変化は認められなかった
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