2008 Fiscal Year Annual Research Report
胆道閉鎖症の病態解明-胆道系自然免疫から獲得免疫への連携と自己免疫現象の解析-
Project/Area Number |
20590338
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
原田 憲一 Kanazawa University, 医学系, 准教授 (30283112)
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Keywords | 胆道閉鎖症 / 胆管 / 自然免疫 / 獲得免疫 / 病理学 / ウイルス / EMT |
Research Abstract |
胆道閉鎖症(BA)は硬化性胆管炎と胆管閉塞が基本病態であり、その原因としてレオウイルス科ウイルス(二本鎖RNAウイルス)の関与が示唆されている。本年度、BA肝由来の培養胆管細胞3株を樹立し、この細胞を用いてBAの硬化性胆管病変の病態形成における二本鎖RNAウイルスに対する胆道系自然免疫応答およびEpithelial-Mesenchymal Transition (EMT)の関与について検討した。胆道閉鎖症の総胆管上皮病変部には、上皮系マーカー(CK19, E-cadherin)の減弱及び間葉系マーカー(vimentin)の異常発現が見られ、胆管におけるEMTの存在が示唆された。培養胆管細胞を合成2本鎖RNA (polyI:C)で刺激した結果、EMT誘導因子であるbasic FGFの発現亢進とTGF-β1の偽受容体であるBambiの発現低下、さらに上皮系マーカーの減弱が誘導された。また、TGF-β1やbasic FGF刺激では、上皮系マーカーの減弱のみならず間葉系マーカーの発現亢進も認め、形態学的にも間葉系細胞への分化が誘導された。すなわち、胆管細胞はpolyI:C刺激により、basic FGF産生とBambi発現低下によるTGF-β1に対する感受性亢進を来たし、EMTが誘導されていると推測された。以上の結果より、胆管細胞は2本鎖RNAウイルスに対する自然免疫応答にてEMT機序による間葉系細胞への形質転換を来たし、胆道閉鎖症の閉塞性硬化性胆管炎の病態形成に関与していることが示唆された。
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Research Products
(10 results)