2008 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生因子による病的およびに機能的血管新生に関する病態学的研究
Project/Area Number |
20590342
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中野 敏昭 Kyushu University, 大学病院, 医員 (10432931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
居石 克夫 九州大学, 医学研究院, 教授 (70108710)
鶴屋 和彦 九州大学, 医学研究院, 寄附講座教員 (20372740)
升谷 耕介 九州大学, 大学病院, 助教 (30419593)
谷口 正智 九州大学, 医学研究院, 助教 (60419562)
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Keywords | 血管新生因子 / 動脈硬化 / VEGF / 病理学 |
Research Abstract |
1.動脈硬化モデルにおけるVEGF familyの動脈硬化進展に与える影響 ヒトの動脈硬化と類似の粥状動脈硬化動物モデルであるApoE欠損マウスに対し、4週齢より0.25%コレステロール食を負荷することにより動脈硬化巣を促進させた。このマウスに対し、組み換えヒト蛋白VEGF-A(VEGF受容体1,2と結合)、VEGF-C(受容体2,3と結合)を2μg/kg連日3週間腹腔内投与することより、VEGF-A、VEGF-C群においてコントロール群と比べ大動脈に動脈硬化が促進されることを病理組織学的に確認した(各p<0.01)。これらの動脈硬化促進効果はPIGF(受容体1のみに結合)、VEGF-C156S(受容体3のみに結合)、VEGFR3中和抗体投与群では認められなかった。また近年、VEGFによる動脈硬化促進には血中の単球/マクロファージの動員や骨髄由来の内皮前駆細胞の動員が影響していることが示唆されており、本モデルにおいて、血中の内皮前駆細胞およびVEGF受容体1陽性単球、VEGF受容体3陽性単球が増加するかフローサイトメトリーを用い測定した。末梢血中の内皮前駆細胞は、コントロール群で0.022%±0,009%であり、各VEGF投与により有意な上昇は認めなかった。末梢血中のVEGF受容体陽性単球に関しては、VEGF-A投与により増加を認めたが(VEGFR1陽性単球1.722%±0.504%)、単球全体の増加には有意差を認めなかった。このことより、低容量のVEGFの持続投与は、単球や内皮前駆細胞の動員を介さず、VEGF受容体2が発現している血管壁に直接的に作用していることが示唆された。その為、培養ヒト大動脈内皮細胞を用い、VEGFにより各種接着分子の発現が増強するかを検討した。VEGF-A50ng/mlを培養ヒト大動脈内皮細胞に投与したところ、6時間後の各接着分子(ICAM1、VCAM1、E-selectin、MCP1)のmRNAの発現の亢進を認めた。VEGF-C投与にてE-selectinのみの発現増強を認めVEGF-Aとの単球動員の機序の違いを認めた。このことから、VEGFは大動脈血管内皮細胞のVEGF受容体2を介して、接着分子の発現を増強することにより血中の単球の血管壁への接着を促進し動脈硬化の促進に影響することが示唆される。
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