2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590347
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
一宮 慎吾 Sapporo Medical University, 医学部, 講師 (30305221)
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Keywords | 液性免疫 / ALOX5 / リンパ球分化 / 悪性リンパ腫 / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
当教室ではヒト免疫機構の解明に向けて抗ヒトリンパ球モノクローナル抗体を数多く樹立し(Lシリーズ抗体)、様々な免疫組織の解析を行ってきた。L26抗体のようにB細胞検出の基準抗体となっているものも含まれている一方で抗原が未だ不明なものもあって、Lシリーズパネルは十分に機能していなかった。 その中でL22抗体は静止期B細胞に強く反応する抗体であり、本研究によって我々はL22抗原をアラキドン酸5-リポキシゲナーゼ(Alox5)として初めて同定した。ヒトリンパ組織のマントル領域に局在する静止期B細胞はCD23^+ナイーブB細胞やCD23^-メモリーB細胞であり、いずれもAlox5を保持していることが明らかとなった。したがってリンパ組織においてはこれらの細胞群が脂質メディエーターの主なソースであると考えられる。Alox5遺伝子欠損マウスを解析すると特異的な液性免疫機構が働いておらず、またAlox5は濾胞性B細胞の維持、濾胞BヘルパーT細胞(Tfh)の分化に影響していることを明らかにした(投稿中)。正常リンパ球がないRag1遺伝子欠損マウスにAlox5遺伝子欠損マウスの骨髄幹細胞を移植したキメラマウス(Rag1/Alox5マウス)は、実験腸炎モデルにて感染により死亡し易い傾向が見られた。こうした研究結果からAlox5は液性免疫の成立に重要な役割を果たしていると考えられる。さらに興味深いことに睡眠時無呼吸症候群の患者の扁桃組織にはTfh細胞が数多く存在しており、扁桃腫大の原因がTfh細胞の増多であれば脂質メディエーター機能の抑制によって病的な扁桃腫大が抑えられるのかもしれない。
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Research Products
(14 results)