2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590347
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
一宮 慎吾 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (30305221)
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Keywords | 液性免疫 / Alox5 / リンパ球分化 / 悪性リンパ腫 / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
我々の教室ではヒト免疫機構の解明を目的としてヒトリンパ球を同定するLシリーズモノクローナル抗体パネルを樹立し、免疫組織の解析を行ってきた。最近になり未同定であったL22抗原をアラキドン酸5-リポキシゲナーゼ(Alox5)として初めて見出し、本研究では静止期B細胞に高発現するL22抗原の機能的意義についてさらなる検討を重ねた。静止期B細胞であるナイーブB細胞やメモリーB細胞はいずれもAlox5を保持し、Alox5は液性免疫の成立に重要な役割を担っていると考えられた。興味深いことにAlox5遺伝子欠損マウスは特異的な液性免疫機構が破綻しており、その原因が濾胞B細胞や濾胞ヘルパーT細胞(Tfh細胞)の分化障害であることを報告した(Nagashima T, et al.Am J Pathol.,2011)。Alox5はロイコトリエン類などのエイコサノイドメディエーターの産生に与る脂質代謝酵素であり、ナイーブヘルパーT細胞と比較してTfh細胞ではシステイニルロイコトリエン受容体の発現が有意に低下していたことから、特定のメディエーターがTfh細胞の機能分化に関係していると考えられた。また扁桃組織を用いた研究から、ナイーブB細胞、メモリーB細胞いずれに対してもTfh細胞は抗体産生細胞になるよう働き、その様式はメモリー細胞の場合の方が顕著であった。加えてメモリーB細胞との会合にはB7ファミリーとCD28/CTLA4の結合が重要であることが示され、メモリーTfh細胞の維持にはCD28/CTLA4よりのシグナルバランスが恐らく関与しているのであろう。また扁桃肥大を特徴とする睡眠時無呼吸症候群ではTfh細胞が高頻度に存在し、治療にロイコトリエン拮抗薬が臨床応用されている事実と今回の成果が関連していた。今後もヒトTfh細胞の機能解析を行い、他の免疫関連疾患での役割に関しても検討を深めたい。
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Research Products
(12 results)