2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨・軟骨悪性腫瘍の発生に関わるmicroRNAの同定とその生物学的意義の解析
Project/Area Number |
20590350
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 孝 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (20170756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前沢 千早 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10326647)
西田 淳 岩手医科大学, 医学部, 講師 (20198469)
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Keywords | 骨肉腫 / 軟骨肉腫 / miRNA / がん抑制遺伝 / がん遺伝子 |
Research Abstract |
近年,蛋白質をコードしないnon-codingRNAであるmiRNAが,蛋白質の翻訳抑制に働いていることが明らかとなり,post-transcriptionalな発現制御機構として注目を浴びている.miRNAは,mRNAと完全相補鎖を形成する場合にはmRNAの分解に働き,一部ミスマッチが認められる場合には翻訳抑制が起きる.miRNAは,発生や細胞分化の研究分野で精力的に解析が進んでおり,がん関連遺伝子の発現制御に関わるmiRNAも次々に特定されている.我々は,骨・軟骨悪性腫瘍においてmiRNAの発現プロファイルを作成し,がん関連遺伝子の発現制御に関わるmiRNAを特定する.さらに,個々のmiRNAの細胞生物学的意義を検証し,骨・軟骨悪性腫瘍の発生・進展に関する生物学的意義を明らかにする. 本年度は昨年度の解析結果を経て,miR-127の標的であるBCL6がそのfamilyであるNACC1の機能制御に関与している事を明らかにしてので,NACClの解析を中心に行った. 1.NACC1の標的分子は細胞骨格関連分子α-tubulinおよびcortactinであった. 2.cortactinの脱アセチル化抑制作用はHDAC6との相互作用を介したものであり,focal adhesionのturn overの低下を誘導し,細胞の運動能の低下につながっていた. 3.軟骨系の悪性腫瘍に於いては,骨肉腫の細胞系とは異なった反応を示し,miR-127の発現低下は確認できなかった. 3.アセチル化チュブリンの減少も細胞の運動の低下につながった. NACClの活性制御には翻訳後修飾が明らかとなり,骨肉腫の発生・進展過程にはmiRNAの異常や蛋白の翻訳後修飾によるゲノム非依存性の機構が存在することが明らかとなった.
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Research Products
(2 results)