Research Abstract |
1.病理組織検体における上皮増殖因子受容体関連蛋白質と下流因子の検索:山梨大学,金沢大学との研究で収集した肺癌150例,肉腫120例でEGFRの異常とカスケードの下流因子(Akt, mTOR, S6K等)の特異的活性化の解析を行った。a)EGFR蛋白質の過剰発現, EGFR遺伝子増幅,変異の解析:未検索の55例の解析から, EGFR蛋白、の過剰発現を19例に,遺伝子の増加を14例(double minute type9例, polysomy10例), exon18-21の変異は15例に新たに見出した。b) EGFRと下流因子の活性化:EGFRカスケードの活性化の解析で,肺癌では腺癌で高率にmTORの活性化が見られ, EGFR変異例では特にAkt/mTOR/S6Kの構成的活性化が認められた(Cancer2009)。一方,扁平上皮癌の組TOR活性化例では高い転移率を示した(Cancer,2009)。骨軟部肉腫ではEGFRの下流分子の中ではAktが高頻度で活性化されており,神経系,横紋筋腫瘍の他,上皮性形態を示す腫瘍特異的にmTORの活性化が見られ,腫瘍の分化,形態形成への関与が示唆された(投稿中). 2. cdk抑制因子(CKI)の不活性化と分解系の解析: CKIの一種, p27はubiquitin ligaseのSkp2,の他、Pirh2により分解を受ける。a) Skp2等とCKIの発現レベルの相関の培養細胞での解析:口腔癌4種の細胞にPirh2のcDNA,あるいはsiRNAを導入すると,過剰発現の際にはp27の発現は減弱し,抑制するとp27が亢進し,拮抗的な関係が確認できた。b)手術材料での解析:口腔癌57例でPirh2, p27の免疫組織染色により検索した結果,実際の組織でも両者の発現レベルは拮抗的であり,複数のp27分解蛋白質の中でもPirh2が主たる蛋白である可能性が示唆された.またPirh2過剰発現例は腫瘍径, stageと有意に相関し,また単変量解析では予後不良因子となった(Cancer Sci. In press)。
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