2010 Fiscal Year Annual Research Report
癌遺伝子の異常によるシグナル伝達系の特異的活性化の解析と多分子標的療法への展開
Project/Area Number |
20590351
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
土橋 洋 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90231456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 俊輔 自治医科大学, 医学部, 教授 (10245037)
柳川 天志 群馬大学, 医学部, 助教 (40400725)
北川 雅敏 浜松大学, 医学部, 教授 (50294971)
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Keywords | 肺癌 / EGFR / 遺伝子変異 / Akt / mTOR / S6 kinase / 遺伝子増幅 / ポリソミー |
Research Abstract |
上皮増殖因子受容体関連蛋白質と下流因子の検索 : 山梨大学との共同研究で収集した肺癌140例でEGFRの異常とカスケードの下流因子(Akt, mTOR, S6K, rS6蛋白)の特異的活性化の解析を行った。a)肺癌におけるEGFR蛋白質の過剰発現,遺伝子増幅,変異の関連:EGFR蛋白質の過剰発現、活性化はいずれも肺癌全体の約40%に認めたが、小細胞癌でのEGFRの関与は低かった。EGFR変異は非小細胞癌(NSCLC)の24%に見られ、うち25%には遺伝子の増加を伴っていたが下流因子の活性化の特異性は認めなかった。b)下流因子の変化、変異の関連 : NSCLCでは、EGFR活性化例の55%にAkt-mTOR系の活性化を伴い、EGFR/Akt/mTOR/rS6の構成的活性化は約10%に見られた。腺癌(AC)の30%に見られたEGFR変異例ではリン酸化型Akt(p-Akt)の核局在を認めた。またACでは90%に、扁平上皮癌(SCC)では90%にmTORの活性化を認め、いずれもその60%が下流のS6K/rS6の活性化を伴っていた。EGFR変異例は高頻度にEGFRの活性化を伴い、50%の症例がAkt/mTOR/rS6全体の活性化を伴っていた。この傾向はSCCでも同様であった(2010年,日本病理学会、日本癌学会発表,Human Pathol.2010,Front.Biosci.2010)。c)Akt蛋白質の過剰発現,遺伝子増幅の関連 : Aktの過剰発現は肺癌全体の60%で、活性化は44%で認められた。また13%にAKT1,2遺伝子いずれかの増幅を、32%でpolysomyを認めた。AKT1,2増幅と高レベルpolysomyを示す症例では全例でAktの活性化を伴い、かつEGFRの変化が無く、両遺伝子の変化の排他性が示唆された(2011年,日本病理学会発表予定)。
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Research Products
(8 results)