2008 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌における葉酸代謝酵素および5-FU標的酵素の発現と化学療法の効果の関連
Project/Area Number |
20590355
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鴨志田 伸吾 Kobe University, 大学院・保健学研究科, 教授 (70351020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新谷 路子 (田中 路子) 神戸大学, 大学院・保健学研究科, 助教 (40207147)
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Keywords | 大腸癌 / 葉酸代謝酵素 / DNA合成酵素 / 薬剤効果予測 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
本年度は、1.folylpolyglutamate synthase(FPGS)、γ-glutamyl hydrolase(GGH)およびfolate transporter-1(FT-1)の至適免疫染色条件の確立と特異性の確認を目的とした。さらに、2.研究計画には含まれていなかった、諸臓器の癌および非癌組織におけるthymidine kinase(TK)の発現についても検討した。本年度の研究実績は以下のように要約される。 1.アフィニティー精製ポリクローナル抗体(FPGSはA、B、Cおよび219の4種、GGHはA、BおよびCの3種、FT-1は52の1種)を作製した。ホルマリンないしパラホルムアルデヒド(PFA)固定パラフィン切片を対象としたFPGS免疫染色は、加熱処理や蛋白分解酵素による抗原性賦活化処理を加えても不可能であった。一方、EDTA液中での熱処理を加えることによりパラフィン切片を対象としたGGH免疫染色が可能であったが、ホルマリン固定よりもPFA固定の方が染色性に優れていた。GGH-Aが最も陽性反応が強く、コントラストも良好であった。GGH免疫染色の特異性は免疫吸収試験により確認され、かつ大腸癌xenograftにおけるGGH免疫反応性はmRNAレベルと相関していた。FT-1の免疫染色はホルマリン固定パラフィン切片では不可能であったが、PFA固定標本では可能であった(EDTA液中での加熱処理が必要)。近日中に蟻酸処理の効果についても追求する。 2.EDTA液中での加熱処理がTKの抗原性賦活化に最適であり、ホルマリン固定パラフィン切片を対象にTKを再現性よく検出できた。TK発現の程度は腫瘍の原発部位により異なっていた:胃・大腸癌で高い傾向がある反面、肺腺癌、肝癌および膵癌では常に低レベルであった(この内容については、研究分担者の新谷が第98回日本病理学会総会で発表する)。
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