2010 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患に合併するがんの早期診断法の開発:粘液形質の解析
Project/Area Number |
20590356
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
西上 隆之 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70131589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 亨 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20227408)
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Keywords | 消化器・唾液腺 / 潰瘍性大腸炎 / クローン病 |
Research Abstract |
炎症性腸疾患の潰瘍性大腸炎やクローン病は、本邦でも増加傾向がみられる。潰瘍性大腸炎には炎症を背景にして高頻度に大腸癌が発生することが知られているが、炎症を担うリンパ球の腫瘍化(悪性リンパ腫の発生)に関する報告は少ない。クローン病には大腸癌の合併は稀とされてきたが、近年クローン病にも腸管に癌の合併が知られるようになってきた。 平成21年度には、クローン病の痔痙に発生した腺癌について、MUC2およびCK20の免疫染色を行い、検体中に存在する直腸粘膜、肛門管上皮および腺癌の染色性を調べた。クローン病の痔瘻に発生した腺癌の免疫学的表現型は、肛門管上皮ではなく直腸粘膜の特性を有していたことより、痔瘻に発生した腺癌の起原は主として直腸粘膜であると考えられた。平成22年度には、潰瘍性大腸炎に大腸癌と悪性リンパ腫を併発した症例について、これらの腫瘍の発生メカニズムを検討した。大腸癌にはMSH6遺伝子の変異、CDKN2A遺伝子のメチル化、microsatellite instabilityを認めた。一方、悪性リンパ腫にはこれらの遺伝子変化は見られず、Epstein-Barr virusの感染を検出した。潰瘍性大腸炎に併発する大腸癌の発生には、MSH6遺伝子、CDKN2A遺伝子、microsatellite instabilityが重要な役割を果たしていると考えられるが、悪性リンパ腫ではEpstein-Barr virusに感染したBリンパ球が外因性の炎症環境を背景にして腫瘍化した可能性がある。
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Research Products
(4 results)