2008 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症の進展抑制と病理情報の蓄積-予後と関連する組織学的指標の確立に向けて
Project/Area Number |
20590360
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Research Institution | Clinical research Center, Chiba-East National Hospital, National Hospital Organization |
Principal Investigator |
北村 博司 Clinical research Center, Chiba-East National Hospital, National Hospital Organization, 臨床研究センター腎病理研究部, 専任室長 (40287701)
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Keywords | 病理学 / 糖尿病性腎症 / 腎生検 / 予後 |
Research Abstract |
糖尿病性腎症では血管内皮障害、細胞外基質蓄積等を基盤とし多様性に富む組織像を呈する。今回、多彩な組織病変が糖尿病性腎症の予後に与える影響を検討した。腎生検にて糖尿病性腎症と確定診断され、6ヶ月以上追跡し得た29例を対象とした。糸球体では、結節・メサンギウム拡大・GBM二重化・滲出性病変、間質/尿細管では間質線維化・炎症細胞浸潤・尿細管萎縮、血管系では動脈硬化・細動脈硬化・門部小血管増生について着目し、の各項目を半定量に評価した。生検後1年までのeGFR低下速度(δeGFR)を求め、δeGFRが5ml/min/1.73m^2/yearより遅い群を「予後良好群」、5ml/min/1.73m^2/yearより速い群を「予後不良群」とし2群間の臨床・病理所見について比較・検討を行った。 臨床所見は、生検時の血清アルブミン値のみに両群間に有意差を認めたが、その他の臨床的なパラメーターについては差を認めなかった。組織所見では、結節/メサンギウム拡大/GBM二重化/滲出/細動脈硬化/門部小血管増生が予後良好群で有意に軽度であった。結節スコアー(スコアー0:結節なし、1:軽度、2:中等度、3:高度)以上の6例は全例が予後不良であった。しかし、スコアー2以上と2未満の群の間には生検時における臨床データーに有意差なく、臨床所見から結節病変の程度の推定は困難であった 以上の、糸球体・細小血管病変は、糖尿病性腎症の予後と密接に関連し、特に結節スコアー高値群は予後不良であった.臨床所見のみでは糖尿病性腎症の予後の推定困難であり、腎機能予後を判断するには腎病理所見の詳細な解析が重要であることが示唆された。
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Research Products
(9 results)