2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症の進展抑制と病理情報の蓄積-予後と相関する組織学的指標の確立に向けて
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20590360
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Research Institution | Clinical research Center, Chiba-East National Hospital, National Hospital Organization |
Principal Investigator |
北村 博司 Clinical research Center, Chiba-East National Hospital, National Hospital Organization, 病理研究部病理研究室, 室長 (40287701)
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Keywords | 病理学 / 糖尿病性腎症 / 腎生検 / 予後 |
Research Abstract |
糖尿病性腎症では糖尿病性網膜症の合併や血尿がない事が臨床的に重要な判断基準とされている。しかし、糖尿病性網膜症や血尿の有無による組織像の差異についての知見は十分ではない。今回、腎生検例を用い糖尿病性網膜症や血尿との相互関係の観点から糖尿病性腎症の組織病変について、糸球体に加え尿細管・間質、血管系と多岐にわたる場に焦点を当て、多角的な解析を加えた。腎生検にて糖尿病性腎症と診断され他の腎疾患のない29例を対象とした。組織は、糸球体(結節病変/メサンギウム拡大/糸球体基底膜二重化)・間質/尿細管(間質線維化/細胞浸潤/尿細管萎縮)・血管(動脈硬化/硝子細動脈硬化/糸球体門部小血管増生)の各項目を半定量的に評価した。糖尿病性網膜症や血尿の有無により各々を2群に大別し2群間の組織所見を比較検討した。糖尿病性網膜症では「あり」21例、「なし」8例。メサンギウム拡大/結節・糸球体基底膜二重化・硝子細動脈硬化・糸球体門部小血管増生が「あり」群で有意に高度で、糖尿病性網膜症の程度との相関も認めた。「なし」群では糸球体病変は多くはびまん性病変が主体であったが、結節や高度の門部小血管増生を示す例も認めた。血尿では「あり」16例、「なし」13例で両群の組織所見に差異は認めなかった。糖尿病性網膜症では糸球体・血管病変の程度と相関を認めたが、一方糖尿病性網膜症「なし」・血尿「あり」においても糖尿病性網膜症として有意な組織変化が存在し、これらが必ずしも糖尿病性網膜症を否定するものではないことが示唆された。
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Research Products
(5 results)