2010 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症の進展抑制と病理情報の蓄積-予後と関連する組織学的指標の確立に向けて
Project/Area Number |
20590360
|
Research Institution | Clinical research Center, Chiba-East National Hospital, National Hospital Organization |
Principal Investigator |
北村 博司 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター), 腎病理研究部, 室長 (40287701)
|
Keywords | 病理 / 糖尿病性腎症 / 腎生検 / 予後 |
Research Abstract |
糖尿病性腎症の腎生検所見は、2型糖尿病では1型糖尿病に比較し臨床所見との相関が明らかにされていない。また、予後予測における有用性についても十分に検討されていない。今回、当院にて過去5年間腎生検を行い、糖尿病性腎症と診断した2型糖尿病患者41例(男性30例、女性11例、年齢59.9±11.7、HbAlc7.94±2.34%、eGFR45.2±17.8ml/min、随時蛋白尿4.01±3.50g/g.Cre)を用い、腎生検所見と臨床所見の相関について検討した。さらに、6ヶ月以上臨床経過を追跡可能であった29例(男性20例、女性9例、年齢59.4±11.5、HbAlc8.38±2.28%、eGFR45.4±18.1ml/min、随時蛋白尿2.71±1.93g/g.Cre、追跡期間27.4±15.5M)を対象として、病理所見から見た予後予測に関する検討を行った。病理組織学的パラメーターとして、1.糸球体病変:びまん性病変/結節性病変、2.糸球体基底膜二重化の有無、3.糸球体門部小血管造成の有無、4.糸球体内泡沫細胞の有無、5.球状硬化糸球体の割合を独立変数とし、ステソプワイズ法による多変量解析を行った。生検時の腎機能とは糸球体硬化率と結節性病変が、生検時尿蛋白量とは糸球体硬化率と糸球体内泡沫細胞ありが選ばれた。また、eGFR低下率では、糸球体基底膜二重化が選ばれた。さらに、eGFR低下率を5.4ml/min/yを境界とし、予後良好群・予後不良群の2群に分けχ^2検定を行ったところ、糸球体基底膜の二重化の存在が有意な予後不良因子であることが示された。 以上より、腎生検の病理所見は、生検時の臨床所見ならびに腎機能予後と密接な相関を示し、2型糖尿病性腎症において腎病理所見の詳細な解析はきわめて有用であることが示唆された。
|
Research Products
(5 results)