2010 Fiscal Year Annual Research Report
肺腺がんの発生及び悪性化における新規がん関連遺伝子OCIAD2の係わり
Project/Area Number |
20590362
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
南 優子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (20466676)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 雅之 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00198582)
|
Keywords | OCIAD2 / 肺腺癌 / 腫瘍マーカー / 新規予後関連遺伝子 / 微小浸潤癌 / 卵巣粘液性腫瘍 / 担癌マウス |
Research Abstract |
直径2cm以下の微小浸潤肺腺癌と上皮内癌の間で、発現遺伝子プロファイルを網羅的に比較検討し、微小浸潤肺腺癌でより高発現している遺伝子としてOCIA domain containing 2(OCIAD2)を明らかにした(Ishiyama T,Noguchi M et al;Cancer Sci.2007 Jan;98(1):50-57)。小型肺腺癌のた微小浸潤癌野口TypeCと上皮内癌野口TypeAとの間でOCIAD2の発現をin situ hybridization法にて解析した結果、OCIAD2は確かにTypeCに有意に高発現していた。そこで、OCIAD2蛋白特異的な合成ペプチドによるポリクローナル抗体を作成し、1:予後の明らかな小型肺腺癌133例とさらに2:卵巣粘液性腫瘍118例を用い免疫染色を行った。肺癌ではOCIAD2の発現と予後との間に相関は見られなかったが、多くの腫瘍細胞で発現がみられたためOCIAD2の発現は腫瘍特異的であると考えた。卵巣粘液性腫瘍では腺腫14%、境界悪性63%、腺癌74%とOCIAD2の陽性率は腫瘍の組織型(悪性度)との間に有意な相関がみられた。境界悪性腫瘍および粘液腺癌においては、組織学的に上皮が平坦な部分よりも、強い乳頭状増殖を示す部位や間質浸潤を示す部位に、OCIAD2のより強い陽性像が認められた。 OCIAD2は細胞膜に局在する蛋白なので担癌マウスの血液中に腫瘍由来のRNAの存在が予測される。そこでOCIAD2が腫瘍マーカーとして応用可能か否かの検討を行う事とし、OCIAD2抗体による免疫染色で発現を認めた肺腺癌細胞株を、ヌードマウスに皮下移植し担癌マウスを作成した。マウスの血液より抽出したRNAを用いnested PCR法にてRNAの発現を確認したところ、全てのマウスの血液にOCIAD2の発現がみられたが、免疫染色でマウスのリンパ球もOCIAD2に陽性を示していたため、腫瘍由来のRNAであるという確証は得られなかった。一方で卵巣癌においては腹水中や血清中にOCIAD2が分泌されることが予想され、その濃度が測定できれば、病勢の評価や治療効果判定、再発の早期発見などに役立つと考え、卵巣粘液性腫瘍由来の細胞株をヌードマウスの皮下や腹腔内に移植して担癌マウスを作成し、その皮下腫瘍や腹腔内腫瘍を採取して、それらにおけるOCIAD2の発現を確認した。今後腹腔内腫瘍を形成したマウスについて、腹水及び腹腔洗浄液についてOCIAD2 RNA及び蛋白を測定しコントロールと比較予定である。
|