2010 Fiscal Year Annual Research Report
53BP1核内フォーカスの普遍的腫瘍組織マーカーとしての意義解析
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20590367
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中島 正洋 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50284683)
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Keywords | 癌 / 53BP1 / ゲノム不安定性 / 蛍光免疫染色 |
Research Abstract |
DNA損傷応答(DDR)分子である53BP1 NF形成を指標とし、種々腫瘍組織とゲノム不安定性(GIN)の関連を解析、普遍的腫瘍組織マーカーとしての意義付けを行なっている。本年度は以下の成果を得た。 1)甲状腺濾胞性腫瘍の進展に伴う53BP1 NF発現:濾胞腺腫(FA)と濾胞癌(FC)は、細胞形態のみによる鑑別は困難である。FA34例、FC微少浸潤型(FCMI)20例、FC広範浸潤型(FCWI)10例の切除組織片を用いた。53BP1蛍光染色発現を解析、正常濾胞上皮全例が安定型、FA35%が低DDR型、FCMIは35%が高DDR型、20%が高発現型を示した。FCWIは20%が高DDR型、40%が高発現型を示した。さらにFCWIの53BP1発現型と遺伝子コピー数異常(CNA)の関連をアレイCGH法により検討し、低DDR型、高DDR型、高発現型と段階的にCNAの増加を認めた。53BP1発現型は濾胞性腫瘍のGINレベル、すなわち悪性度推定の指標となる。 2)53BP1-Ki67蛍光二重染色による子宮頸部高度異形成(SD)と上皮内癌(CIS)の鑑別:SDとCISは、可逆性と非可逆性という点で具なる病変である。DDRは細胞周期停止状態で機能する。53BP1 NF-Ki67共陽性細胞をDDR異常型と定義し、SD群とCIS群各々20例の生検組織で、DDR異常型核に発現するNF数と長径を群間比較した。SD群/CIS群の数と長径の平均値は2.53±2.06/2.77±2.14個(p<0.001)と0.54±0.29/0.69±0.35μm(p<0.001)であった。1.0μm以上のNFを2個以上有する核が10個以上出現する症例のCISである確率は100%、相対危険度(95%CI)は7.7(2.7-22.0)であり、統計学的に有意な危険因子であった。この蛍光染色法はSDとCISの鑑別に有用である。
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Research Products
(37 results)