Research Abstract |
aPKC/PAR系は、上皮細胞の極性化に重要な機能を有している(図2).われわれはaPKCλ/ι,がPAR3,PAR6と複合体を形成して,細胞極性形成に重要な役割を果たしていることを見出し、報告してきた.癌細胞では細胞極性異常が見られ,aPKC/PAR系の異常が存在すると思われる,本研究では乳癌および前立腺癌でのaPKCλ/ι遺伝子,蛋白の異常を検討する。本年度の成果を以下に記す 1.成果の発表(長嶋,秋本) われわれは、前立腺癌でaPKCλ/ιがIL6を誘導しホルモン治療不応性の獲得に関与していること(Ishiguro, Akimoto, Nagashima et al. Pro Natl Acad Sci USA, 2009)、胃癌でaPKCλ/ιの高発現が独立した再発予後不良因子であることを示し(Takagawa, Akimoto, Nagashima et al. Ann Surg Oncol, 2010),各々国際欧文誌に論文発表してきた.今年度はヒト臨牀検体を用いて前立腺癌でaPKCλ/ιの過剰発現とIL6の発現が相関し、予後不良因子であることを報告した(Ishiguro, Akimoto, Nagashima et al. Cancer Sci, in press)。また,膵臓癌、メラノーマ,頭頚部扁平上皮癌についても進行とaPKCλ/ιの過剰発現の正相関を確認し、現在、投稿準備中である。 2.aPKCλ/ιを分子標的とした乳癌,前立腺癌治療モデルの確立(秋本,長嶋)我々はすでに乳癌ではaPKCλ/ιが高発現し,oncogenicに働いている可能性を報告した(Kojima, Akimoto, Nagashima et al. Hum Pathol, 2008).これにaPKCλ/ιを高発現している細胞株に対し,siRNA法やaPKC阻害薬を用いて増殖抑制が得られるかを検討中である.前立腺癌についても同様の実験を推進中である
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