2008 Fiscal Year Annual Research Report
悪性骨軟部腫瘍における浸潤・転移能獲得および治療抵抗性の分子機構の解明
Project/Area Number |
20590375
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
齋藤 剛 Juntendo University, 医学部, 助教 (80439736)
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Keywords | 肉腫 / 浸潤・転移 / キメラ融合遺伝子 / RNAi / リセプター型チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
本年度は対象とする染色体転座軟部肉腫の中でも、特に悪性度の高い小児悪性軟部腫瘍であるdesmoplastic small round cell tumor(DSRCT)に焦点を当てた。研究代表者は留学中に行った軟部肉腫多数例のcDNA microarrayの結果から、DSRCTに特異的に高発現しているreceptor型tyrosine kinasesを同定しており、その1つであるfibroblast growth factor receptor4(FGFR4)に着目した。まず、FGFR4のmRNAの高発現がFGFR4の蛋白の発現と相関しているかを調べるために、DSRCT細胞株を用いたWestern blottingを行った。その結果、DSRCT細胞株では他の細胞株に比べ、FGFR4が蛋白レベルでも高発現しており、さらに高度にリン酸化していることを確認した。さらにDSRCT臨床検体を用いた免疫組織化学でも、FGFR4はDSRCT細胞の細胞膜に局在し、高発現していることを確認した。次に、FGFR4を標的としたsiRNAを用いて、FGFR4の発現をknockdownさせるとFGFR4の発現低下とともにDSRCT細胞に増殖能の低下がみられた。現在、FGFR4並びにDSRCTに特異的にみられるキメラ融合遺伝子であるEWS-WT1を標的とした,tetracyclinで誘導可能なRNAiシステムを用いて安定細胞株を樹立しており、これらの遺伝子のknockdownに伴う細胞増殖能、転移・浸潤能、薬剤耐性などを含めた生物活性の変化などを遺伝子レベルおよび蛋白レベルで調べる予定としている。また、滑膜肉腫においては、臨床検体で稀にみられる変異型キメラ融合遺伝子SYT-SSX1の機能解析を行い、通常型のSYT-SSX1てと上皮分化誘導能および生物活性の違いについて検討・報告した。
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