2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔上皮内病変の診断と幹細胞研究における独自開発した組織Q-FISH法の応用
Project/Area Number |
20590378
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
相田 順子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (80425678)
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Keywords | テロメア / 老化 / 病理学 / 癌 / トランスレーショナルリサーチ / 組織幹細胞 |
Research Abstract |
従来前癌病変とされてきた口腔粘膜dysplasiaは、一部は既に癌として治療すべき病変であるとして注目されています。その客観的根拠を得る目的で、我々は独自に開発した組織Q-FISH法を用いて、口腔正常粘膜および口腔上皮内病変(dysplasiaやCIS)のテロメア長を細胞種別に解析しました。 平成22年度は平成21年度に引き続き、前年度内に未実施であった分の上皮内腫瘍病変パラフィンブロックについて組織検定後に解析を行ないました。前年度に作成した組織FISH法によるテロメア長測定時のコントロールとなるセルブロックを利用してFISH時に検体と同一スライドガラス上に置き、標準化に使用しました。また、FISH解析と同時にKi-67の免疫組織化学的検討を行ないました。 以上の結果、従来のdysplasiaを含む上皮内癌では前年度に報告した通りKi-67の染色パターンが変化し基底細胞層に染色されること、テロメア長は基底細胞層で特に短縮すること、上皮内癌の周囲非癌部においても正常対照群に比較するとテロメアが短縮していることが分かりました。また、この過程で、同一口腔内に癌の多発を見る特異なdysplasiaの一群を認め、これらが極度にテロメアを短縮し、染色体の不安定性を欠いていることが分かりました。これらの病変は非常な高頻度で癌の多発を来すことから真の前癌病変と考えられ、前癌病変というのはテロメア短縮が生じ、染色体の不安定性が増進した状態であるという結論に達し、英文論文を作成、平成23年5月現在投稿中です。
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Research Products
(7 results)