2010 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子drsによる感染防御作用とそのメカニズムの解明
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20590383
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
旦部 幸博 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50283560)
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Keywords | drs遺伝子 / 感染防御作用 / 自然免疫 |
Research Abstract |
癌抑制遺伝子drsの感染防御作用とその分子メカニズムを明らかにするため、Drsノックアウト(KO)細胞を用いて以下の成果を得た。 1、VSVを感染させた野生型(WT)およびDrs KO細胞を用いて、ウイルス蛋白質の合成に関わる宿主細胞側のシグナル伝達分子の解析を行った。WT細胞では、ウイルス感染時に、リボソームS6蛋白質のリン酸化が抑制されていたのに対して、Drs KO細胞ではリン酸化が抑制されず、このことがDrs KO細胞でのウイルス増殖の亢進に関与していることが示唆された。これまでDrsはS6のリン酸化を制御するp38-RSK経路を調節することを見出していたが、本年度の研究において、Drsはさらに、もう一つのS6リン酸化経路である、mTOR-S6K経路の調節にも関与していることを明らかにした。 2、DrsによるmTOR経路制御の分子メカニズムを明らかにするため、mTORをリン酸化するTSC1/2および、ウイルス感染時に誘導されるmTOR制御分子であるGADD34とDrsの結合について解析を行い、DrsはGADD34との結合を介してTSC1/2と複合体を形成し、DrsはGADD34と協調的にTSC2のリン酸化を抑制することを明らかにした。 以上の結果から、Drsは正常細胞において、p38-RSK、mTOR-S6Kの両経路を介してS6のリン酸化を調節しており、ウイルス感染時にS6のリン酸化を抑制して、ウイルスの蛋白質合成を特異的に抑制することで、宿主のウイルス作用に寄与することが示唆された。特に、mTOR-S6K経路において、Drsはウイルス感染によって誘導されるGADD34を介して、mTOR制御分子であるTSC2と複合体を形成し、TSC2の脱リン酸化を調節することでmTOR活性を調節することが示唆された。
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Research Products
(6 results)