2008 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達制御による特殊な酸化ストレス防御の分子機構の解析
Project/Area Number |
20590385
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
竹腰 進 Tokai University, 医学部, 准教授 (70216878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧澤 俊也 東海大学, 医学部, 教授 (70197234)
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Keywords | protein kinase C / diacylglycerol / oxidative stress / lipid peroxidation / glutathione peroxidase / signal transduction / splicing variant / neuron |
Research Abstract |
情報伝達・細胞応答を司る機能性脂質の過酸化による情報伝達異常と病変発生に至る機序を解明することを最終的な研究目的とする。その中で本研究課題では、脂溶性情報伝達経路の中核に位置するDiacylglycerol (DAG)の過酸化とそのProtein Kinase C(PKC)活性化作用の変質(過剰亢進)により誘導される病変に対し特異的に対応する新しいシグナル伝達制御の分子機構をin vivo脳組織内において解析し、酸化ストレス防御システムとしてのシグナル伝達制御の役割を検証する。2008年度は、まず、in vivoの酸化ストレス傷害モデルにおける過酸化DAG産生を実証することを試みた。その結果、肝細胞毒性物質である四塩化炭素を投与した肝臓では脂質過酸化反応の亢進とともに過酸化DAGが蓄積し、さらにPKCαおよびδ分子の活性化(形質膜へのtranslocation)が認められた。また、PKCδの下流で働く分子であるNF-κBのリン酸化と炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β)の産生が増大していた。一方、PKCδのsplicing variant (PKCδSV)の遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクターを作成し、このベクターを用いてPKCδSVをPC12細胞に高発現させたところ、このPKCδSV高発現細胞では、ホルボールエステルによる細胞増殖作用が有意に抑制されることが判明し、PKCδSVはPKC分子依存性シグナルに抑制的に作用する分子であることが強く示唆された。以上の結果から、酸化ストレスが負荷されたin vivoの組織中では過酸化DAGが増大し、情報伝達異常・細胞傷害が誘導されることが判明し、PKCδSVはその傷害作用に対して抑制因子として働いていることが強く示唆された。
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Research Products
(12 results)