2010 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達制御による特殊な酸化ストレス防御の分子機構の解析
Project/Area Number |
20590385
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
竹腰 進 東海大学, 医学部, 准教授 (70216878)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧澤 俊也 東海大学, 医学部, 教授 (70197234)
|
Keywords | protein kinase C / diacylglycerol / oxidative stress / lipid peroxidation / glutathione peroxidase / signal transduction / splicing variant / neuron |
Research Abstract |
情報伝達・細胞応答を司る機能性脂質の過酸化による情報伝達異常と病変発生に至る機序を解明することを最終的な研究目的とする。その中で本研究課題では、脂溶性情報伝達経路の中核に位置するジアシルグリセロール(DAG)の過酸化とそのプロテインキナーゼC(PKC)活性化作用の変質(過剰亢進)により誘導される病変に対し特異的に対応する新しいシグナル伝達制御の分子機構をin vivo組織内において厳密に検証し、酸化ストレス防御システムとしてのシグナル伝達制御の役割を追求する。本年度は、特にPKC活性化作用を有する機能性脂質であるdiacylglycerolの過酸化による情報伝達の変化と病態発生の機序について、酸化ストレスモデル動物(四塩化炭素長期投与モデル:肝繊維化モデル)を用いた解析を行った。4、8週間四塩化炭素を投与したラット肝臓では、肝線維化の進展とともに脂質過酸化物の代謝産物である4-Hydroxy-2-Nonenal(HNE)の蓄積が認められた。さらにdiacylglycerolの過酸化物(DAG-OOH)が有意に増加することが明らかとなった。DAG-OOHはin vitroの実験から強力なPKC活性化を有する。実際に四塩化炭素の長期投与により肝線維化を呈した部位においてPKCαの活性化(細胞質から細胞膜への移行)が判明した。一方、肝線維化促進因子であるTIMP-1はPKCシグナル伝達系によりその発現が促進されることが報告されている。四塩化炭素投与によりPKCαが活性化されている部位においてTIMP-1の発現の亢進が観察された。以上の結果から、酸化ストレス→DAG-OOH増加→PKCα活性化→TIMP-1発現促進のカスケードを経て、肝線維化が進行するものと考えられた。
|
Research Products
(10 results)