2008 Fiscal Year Annual Research Report
セントロメアタンパク質は細胞の老化を制御する新しい因子となりうるか?
Project/Area Number |
20590387
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
前原 佳代子 Kurume University, 分子生命科学研究所, 助教 (80421311)
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Keywords | 細胞 / 細胞老化 / 染色体 / セントロメア / CENP-A / CENP-B / ヘテロクロマチン |
Research Abstract |
平成20年度に実施した研究の成果を以下に示す。 1. 老化したヒト初代培養細胞におけるセントロメアタンパク質の動態 ウエスタンブロット解析により、ヒストンH3バリアントであるCENP-Aやスピンドルチェックポイントタンパク質Mad2、BubR1やキネトコアタンパク質Hec1の低下、セントロメアタンパク質CENP-Bやヘテロクロマチンタンパク質HP1の増加など、多くのタンパク質の量的な変化が老化した細胞で認められた。CENP-Aの低下とCENP-Bの増加は免疫染色でも同様に観察された。染色パターンの変化から老化した細胞ではセントロメア構造に質的な変化が起きていることが推測された。 2. shRNAによりセントロメアタンパク質を低下させたヒト初代培養細胞の表現型 CENP-A, CENP-B, Mad2, BubR1に対するshRNAをそれぞれ細胞に導入したところ、CENP-Aの低下によってヒト正常細胞は増殖を停止し、p16やp21の増加、老化関連ヘテロクロマチン構造の形成や老化のマーカーであるSA-・-gal活性の上昇が観察された。CENP-Aの低下によりヒト初代培養細胞は老化することが示された。BubR1の低下でも細胞老化様の表現型が観察されたが軽度であり、Mad2やCENP-Bの低下では細胞は増殖を停止しなかった。 セントロメアという特殊な染色体構造に局在するCENP-Aタンパク質の減少が、老化した細胞で観察された。また人為的にCENP-Aタンパク質を低下させると細胞が老化することがわかった。多くの生物種においてCENP-Aの低下は染色体分配の異常につながることが示されている。本研究は老化に伴う変化や疾患にセントロメアタンパク質の異常が関与することを示唆し、この分子メカニズムを解明することは意義のある研究であると考える。
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Research Products
(2 results)