2009 Fiscal Year Annual Research Report
セントロメアタンパク質は細胞の老化を制御する新たな因子となりうるか?
Project/Area Number |
20590387
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
前原 佳代子 Kurume University, 分子生命科学研究所, 助教 (80421311)
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Keywords | 細胞 / 細胞老化 / 染色体 / セントロメア / CENP-A / CENP-B / ヘテロクロマチン |
Research Abstract |
平成21年度は、セントロメアタンパク質のなかで、CENP-Aの動態に着目して研究を遂行した。CENP-Aタンパク質の減少が、どのようなシグナル経路で細胞を老化させるのか、またそのメカニズムの生理的な意義について研究を進めた。以下に研究の成果を示す。 1.CENP-Aの低下が細胞の増殖に及ぼす影響について ヒトの正常細胞とがん細胞を用いて、CENP-Aタンパク質を消失させ、増殖に対する効果を比較した。正常細胞は速やかに増殖を停止するが、がん細胞は増殖を続けることがわかった。正常細胞の増殖停止は細胞の老化であること、この老化の誘導は、p53に依存することを明らかにした。 2.CENP-Aノックダウンによる細胞老化とp53の役割について CENP-Aの低下によるp53依存性の細胞老化の生理的な意義を調べるために、生細胞観察を行った。p53の不活性化により、CENP-A低下による増殖停止が解除された結果、多くの細胞が染色体分配異常を示すことがわかった。具体的には、染色体が赤道面に揃わず分裂前中期の延長する、赤道面に揃わないまま染色体が分配される結果、微小核を形成する細胞が多く認められた。 これらの研究成果から、ヒト正常細胞には、染色体の均等分配を保障するセントロメア・キネトコアの異常に対して、速やかに増殖を停止させる機構が存在することが示唆された。また、セントロメアタンパク質の異常によって引き起こされる老化は、染色体異常を伴う細胞の発生と増殖を抑制する。本研究は癌抑制の観点からも重要かつ意義のある研究である。
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Research Products
(1 results)