2008 Fiscal Year Annual Research Report
生体異物相互作用の場としてのいわゆる造血幹細胞ニッチを介した活性酸素障害発現機構
Project/Area Number |
20590388
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
平林 容子 National Institute of Health Sciences, 安全性生物試験研究センター毒性部, 室長 (30291115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 達 国立医薬品食品衛生研究所, 安全性生物試験研究センター, センター長 (50100110)
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Keywords | 造血幹細胞 / 幹細胞ニッチ / 生体異物相互作用 / 細胞周期 / 酸化的ストレス |
Research Abstract |
目的に即して、1.低酸素状態で維持される幹細胞の静止期[dormancy]における維持機構と、細胞周期内における自己複製の調節機構、2.造血幹細胞の細胞周期静止機構の成立とこれにかかる新生児期の造血動態変化の分子機構、3.造血幹細胞特異的細胞周期測定法と定常状態[steady state]における細胞周期静止分画の酸化的ストレス蓄積過程としての加齢・老化に伴う変化、の3点に基づいて研究を行い、以下の様な成果を得た。 1については、セルソータによって得られる骨髄細胞の未分化な造血幹細胞は、分化抗原(Lin)陰性、c-kit及びSca-1陽性のLKS分画として得られるが、このうち造血ニッチとの接着を維持するα2-integrin(CD49)高発現分画は、ニッチにおける酸素分圧の勾配を想定させる比較的低酸素状態のチオレドキシン(Trx)過剰発現マウスでの分画から、野生型、Trx欠乏状態のマウスと、酸化的ストレスの増加に従って、2',7'-dichlorodihydrofluorescein diacetateで検出される細胞内活性酸素種量を反映する蛍光強度の高い亜分画の増大が認められた。 2,3との関係では、当研究者等は既に造血幹細胞特異的な細胞周期を測定する方法として、浸透圧ミニポンプなどによる持続的なブロモデオキシュリジン(BrdUrd)の投与と、それらBrdUrd取り込み細胞の紫外線(UVA)による淘汰によって、造血前駆細胞の非細胞回転分画がマウスの半生にわたって変化しないことを見出している。従って、これらの非細胞回転幹細胞分画の新生児期における形成過程と20ヶ月齢を超える老年期における変化とを調べる意義があり、実験が計画された。妊娠期間中からの母体を通じたBrdUrdの投与条件、老齢動物の入手など、実験準備がほぼ終了した。
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