2009 Fiscal Year Annual Research Report
フォークヘッド転写因子Foxoによる白血病幹細胞の維持機構の解明
Project/Area Number |
20590394
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
仲 一仁 Kanazawa University, がん研究所, 准教授 (70372688)
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Keywords | がん幹細胞 / 慢性骨髄性白血病 / 白血病幹細胞 / フォークヘッド転写因子 / 抗がん剤抵抗性 |
Research Abstract |
がん幹細胞は多様ながん細胞の供給源となる細胞であり,抗がん剤や放射線治療後のがん幹細胞の残存はがんの再発の原因となる.慢性骨髄性白血病(CML)は活性化型チロシンキナーゼBCR-ABLの発現によって発症する骨随増殖性疾患であり,CML患者の治療にはチロシンキナーゼ阻害剤イマチニブが広く用いられている.しかし,イマチニブ抵抗性の白血病幹細胞の残存がCMLの再発を引き起こすことが明らかとなり,白血病幹細胞はCMLを根治するための重要な標的細胞に位置づけられている.本研究課題において研究代表者は,CML様骨髄増殖性疾患のマウスモデルを用いてフォークヘッドO型転写因子(Foxo3a)のCMLの白血病幹細胞の維持における役割を解析してきた.昨年度.Foxo3a欠損マウス由来の白血病幹細胞の連続移植実験を行い,Foxo3aの欠損は白血病幹細胞の能力を著しく低下させることを報告した.今年度は,イマチニブ抵抗性の白血病幹細胞におけるFoxo3aの役割を解析した.In vitroにおいて,イマチニブ含有条件下,白血病幹細胞のコロニー形成能を解析したところ,Foxo3a欠損マウス由来の白血病幹細胞では,野生型マウス由来の白血病幹細胞に比べて,コロニー形成能が低下していた.さらに,Foxo3a欠損マウス由来の白血病幹細胞を移植したマウスにイマチニブの投与を行ったところ,野生型マウス由来の白血病幹細胞を移植したマウスにイマチニブを投与した場合と比べ,CMLの再発が有意に改善された.従って,Foxo3aは白血病幹細胞の維持・イマチニブ抵抗性に重要な役割を担っていると考えられる.
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