2010 Fiscal Year Annual Research Report
フォークヘッド転写因子Foxoによる白血病幹細胞の維持機構の解明
Project/Area Number |
20590394
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
仲 一仁 金沢大学, がん研究所, 准教授 (70372688)
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Keywords | がん幹細胞 / 慢性骨髄性白血病 / チロシンキナーゼ阻害剤抵抗性 / FOXO / TGF-β阻害剤 |
Research Abstract |
慢性骨髄性白血病(CML)は活性化型チロシンキナーゼBCR-ABLの発現によって発症する骨髄増殖性疾患であり,CML患者の治療にはチロシンキナーゼ阻害剤イマチニブが広く用いられている.しかし,イマチニブ抵抗性の白血病幹細胞の残存がCMLの再発を引き起こすことが明らかとなり,白血病幹細胞はCMLを根治するための重要な標的細胞に位置づけられている.本研究課題において研究代表者は,CML様骨髄増殖性疾患のマウスモデルを用いてフォークヘッドO型転写因子(Foxo3a)のCMLの白血病幹細胞の維持における役割を解析してきた.昨年度までに,Foxo3a欠損マウス由来の白血病幹細胞の連続移植実験を行い,Foxo3aが白血病幹細胞の自己複製能の維持とイマチニブ抵抗性に重要な役割を担っていることを明らかにした.そこで,FOXOを抑制することで,白血病幹細胞を排除する新しいCML治療法を開発できないか検討を行った.その結果,白血病幹細胞においてTGF-βがFOXOを活性化しており,TGF-β阻害薬によってFOXOを抑制できることを見いだした.また,in vitroにおけるTGF-β阻害薬処理は白血病幹細胞のコロニー形成能を低下させた.さらに,白血病幹細胞を移植したマウスに対するTGF-β阻害薬とイマチニブとの併用投与は,イマチニブ単独投与に比べ,CMLを発症したマウスへの治療効果を向上させることを解明した.以上の結果から,TGF-β-FOXOシグナルは白血病幹細胞のイマチニブ抵抗性の制御に重要な役割を担っており,TGF-β阻害薬は,FOXOの抑制を介して,イマチニブ抵抗性の白血病幹細胞を治療できると考えられる.従って,TGF-β阻害薬は白血病幹細胞を治療する分子標的薬として期待される.
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Research Products
(7 results)