2010 Fiscal Year Annual Research Report
多機能に関わるアドレノメデュリンーRAMPシステムの発生工学的病態解析と治療検討
Project/Area Number |
20590395
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
桜井 敬之 信州大学, 医学系研究科, 准教授 (80317825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新藤 隆行 信州大学, 医学系研究科, 教授 (90345215)
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Keywords | アドレノメデュリン / 受容体修飾因子 / Receptor activity modifying protein / 血管作動性ペプチド / 血管新生 / 心血管系 / 疾患モデル動物 / 発生工学 |
Research Abstract |
アドレノメデュリン(AM)遺伝子は強力な血管拡張降圧作用を持つ血管作動ペプチドであり、かつ抗酸化作用、抗動脈硬化作用など多彩な生理活性を示す。この多様性は、Receptor activity modifying protein 2,3(RAMP2、3)(R2,R3)と名付けられた細受容体の一部を構成する1回膜貫通型受容体活性調節タンパク質が規定し、それらの細胞、臓器における使い分けが重要であることが示唆されているが多くが不明である。AM-RAMPシステムの理解と医学応用には、このR2および3の機能解明が不可欠である。本年度、我々は、独自に樹立したR2全身KOマウス、血管内皮細胞ならびに心筋細胞特異的R2KOマウスの解析(小山晃英(D2)および吉沢隆浩(D2))、ならびにR3KOマウスの解析をさらに進めた。その結果、従来、特に細胞レベルの解析から予測されているAM-RAMPシステムにおけるR2とR3の相補的な働きが、個体レベルでは再現されないこと、つまりR2は主に心血管系の恒常性維、一方、R3は自然免疫応答とそれぞれが異なる機能に関与していることをより強く支持するテータを得た。さらに両者の共通病態として炎症現象が絡むことを見出し、今後、これが両者の機能分化を探る研究の端緒となると期待された。 (1)臓器特異的R2KOマウス解析データは現在、投稿中および投稿準備中である。 (2)R3KOマウスに関しては、単離したマクロファージのLPS応答性をDNAチップ解析にて網羅的記に検討してR3遺伝子KOでの免疫応答性の差異に関連する遺伝子群を同定した。さらにCLP腹膜炎モデル解析から、LPS処理マウス同様に遺伝子型により生存率差があること、その一因としてR3KOの腹腔好中球・マクロファージでの細胞機能の低下と炎症関連遺伝子群の発現減少を認めた。また昨年樹立したR3過剰発現型Tgマウスを用いたCLP腹膜炎モデルにおいてTgマウスは野生型のそれに比べ生存率が高いことを観察した。
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