2009 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス性脳症におけるウイルスの抗アポトーシス作用と脳障害発生機構の解析
Project/Area Number |
20590396
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
小杉 伊三夫 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, 准教授 (10252173)
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Keywords | ウイルス感染症 / サイトメガロウイルス / 神経細胞 / 脳発達障害 / 神経細胞死 / ネクローシス / 興奮毒性細胞死 / アポトーシス |
Research Abstract |
マウスサイトメガロウイルス(MCMV)由来抗細胞死蛋白の感染神経細胞における細胞死抑制を含めた機能障害への関与について、特にM45蛋白を中心に検討した。 1)M45遺伝子を欠失した組換えMCMVの作製。MCMVゲノムのM45遺伝子をMCMVelプロモーターEGFPカセットで置き換えることで,M45遺伝子欠失MCMV(rMCMV-ΔM45)の作製を試みた.elPro-EGFPカセットをMCMV-M45遺伝子上流域及び下流域のflanking配列で挟んだ直鎖DNAを作製し,MCMV Smith株を用いた相同組換えによってrMCMV-ΔM45株を樹立した.PCR法によってM45遺伝子の欠失を確認した.また,rMCMV-ΔM45が感染した線維芽細胞において,EGFPが発現し,M45蛋白が発現しないことを確認した.さらに,21年度ではrMCMV-ΔM45に欠失したM45遺伝子を組み込んだRescue Virusも作製した。 2)神経細胞へのin vitro感染実験による観察。初代培養神経細胞にrMCMV-ΔM45を感染させ,M45遺伝子を持ちEGFPを発現するrMCMV-EGFPを感染させた神経細胞と比較した.前年度の実績でMCMV感染神経細胞においてM45蛋白が,感染神経細胞の細胞死を抑制すると推測された.21年度では,CMV感染が発育期神経細胞の樹状突起形成に及ぼす影響を解析した.Wild Type MCMV及びrMCMV-EGFPを感染させた神経細胞では樹状突起形成が抑制されていた.一方,rMCMV-ΔM45感染神経細胞では,非感染神経細胞と同様の樹状突起形成が認められた.以上の結果から,M45蛋白か発育期神経細胞の樹状突起形成を抑制すると考えられ,ウイルスによる脳発達障害の要因と成ることが推測された.
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Research Products
(10 results)