2009 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症進展における肝細胞増殖因子による生体防御機構とその分子基盤解析
Project/Area Number |
20590398
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水野 信哉 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (10219644)
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Keywords | HGF / c-Met / 敗血症 / マクロファージ / 高サイトカイン血症 / 多臓器不全 / 分子機構 / 血栓形成 |
Research Abstract |
細菌感染などによる敗血症は近年増加の一途を辿っており、米国では年間70万人以上が敗血症経過中の多臓器不全によって死亡している。私達は肝細胞増殖因子(HGF)による多臓器不全症の発症予防効果を敗血症のマウスモデルを用いて明らかにしていた(前年度)。本年度はその分子機構を明らかにすべく、敗血症病態における生体防御機構、とりわけIL-1,IL-6,IL-18などの炎症性サイトカインの産生を制御する事が知られているヘムオキシゲナーゼ(HO-1)に注目し、その発現に対するHGFの効果を調べた。 HO-1研究で汎用されているマクロファージ、Raw264細胞を用い、HO-1産生に対するHGFの機能を調べた。その結果、HGFはLPS刺激後12時間以内に、HO-1 mRNAのレベル修飾なしに蛋白レベルを数倍に上昇させることが判った。そこでLPS刺激したRaw264細胞にリボゾーム阻害剤(シクロヘキシミド)を添加したところ、HGFによるHO-1産生誘導が阻害されたのに対し、転写阻害剤(アクチノマイシンD)では変化が認められなかった。次にHGFの抗炎症作用に対するHO-1の貢献度を明らかにすべく、Raw264細胞にHO-1阻害剤(SnPP)を添加した。その結果、LPS刺激MfではHGF添加によりIL-6産生抑制とIL-10産生亢進が促されたのに対し、HGFにSnPPを併用すると、IL-6発現低下の解除、IL-10発現上昇の制御が認められた。以上の結果はLPS処置マウスにHGF単独またはHGF+SnPPを投与したin vivo系でも再現された。 今回の結果から、炎症病態では(1)HGFはマクロファージを直接標的とし、翻訳後修飾を介してHO-1発現を高める、(2)HGFによるHO-1発現促進を介したIL-6産生制御、IL-10産生促進が肝炎や肺傷害の改善に寄与する、以上の作用機序が明らかとなった。
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Research Products
(9 results)