2008 Fiscal Year Annual Research Report
病的骨破壊をもたらす破骨細胞前駆細胞の解析と治療への応用
Project/Area Number |
20590400
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
林 眞一 Tottori University, 医学部, 教授 (50208617)
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Keywords | 免疫学 / 骨吸収 / 発生・分化 / 病理学 / 再生医学 |
Research Abstract |
本研究は、破骨細胞前駆細胞そのものの機能・性質・起源の違いを比較検討することを目的としている。ともに骨吸収の亢進を伴うヒト関節リウマチと骨粗鬆症の患者の末梢血中の破骨細胞前駆細胞の性格が異なることを報告した(Nose,et al.2009,研究発表・雑誌論文の項参照)。 Btk機能異常Btk^<xid>マウスを用いた破骨細胞前駆細胞の検討から、成体において脾臓では正常型とBtk^<xid>型の破骨細胞前駆細胞は1:1で存在するが、骨髄においては、ほとんど正常型細胞からなることを観察した。このことは、破骨細胞前駆細胞が骨髄内で産生されるのではなく、骨髄外から供給されているのではないかという可能性を示唆している。そこで、腹腔に滅菌した水を注入し、低張処理により腹腔細胞を死滅させたところ、時間経過とともに、骨髄細胞を用いた破骨細胞分化誘導が減少した。この減少は現在処理後、100日目まで観察したが、40日目で正常の約30%程度までに減少し、その後、一定化する。よって、骨髄の破骨細胞前駆細胞の大半は、腹腔細胞に関連した細胞のように思われる。現在、腹腔細胞中の破骨細胞前駆細胞を単離し、低張処理により減少した破骨細胞分化誘導が回復できるか検討を始めている。この減少が今後も継続するのであれば、骨粗鬆症の治療に用いる可能性がある。 平成21年度は、残された30%の破骨細胞は如何なる細胞から由来するのか検討する。さらに、病的骨破壊を実験的に誘導して、この破骨細胞前駆細胞が腹腔低張処理によって影響を受けるか否かを検討することで、恒常的な生理的状態と病的骨吸収を行う破骨細胞前駆細胞の異同を検討する。順調に研究が進行していると思う。
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Research Products
(10 results)