2009 Fiscal Year Annual Research Report
病的骨破壊をもたらす破骨細胞前駆細胞の解析と治療への応用
Project/Area Number |
20590400
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
林 眞一 Tottori University, 医学部, 教授 (50208617)
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Keywords | 免疫学 / 骨吸収 / 発生・分化 / 病理学 / 再生医学 |
Research Abstract |
本研究は、破骨細胞前駆細胞そのものの機能・性質・起源の違いを比較検討することと、その分化を制御する機構を明らかにし、病的骨破壊をもたらす疾患の治療を目指している。骨吸収の亢進を伴うヒト関節リウマチと骨粗鬆症の患者の末梢血中の破骨細胞前駆細胞の性格が異なることを報告した(Nose, et al. 2009)。 Btk機能異常BtK^<xid>マウスを用いた破骨細胞前駆細胞の検討では、破骨細胞前駆細胞が骨髄内で産生されるのではなく、骨髄外から供給されているのではないかという可能性を示唆した。この可能性を明らかに知るため、X染色体にGfp遺伝子を挿入したトランスジェニックマウスとBtK^<xid>マウスのF1雌マウスを作成し、最終確認を行っている。腹腔に滅菌した水を注入し、低張処理により腹腔細胞を死滅させたところ、骨髄細胞からの破骨細胞分化誘導が約50%減少した。この減少は一回の処理で以降回復することはなく、再生あるいは他臓器からの供給が存在しない特異的な細胞集団の存在を示唆している。この破骨細胞誘導は骨髄中からT細胞系譜を除去した場合にはその作用が見出されないため、T細胞関連の破骨細胞分化機構に関与していると考えられる。病的骨破壊をもたらす疾患の多くはT細胞の関与が報告されており、3年目にしてついにT細胞関連分化制御機構の一端を見出したと思う。 平成22年度は、本研究の最終年度でもあり、腹腔中に存在する破骨細胞分化制御細胞を明らかにし、特異的にその細胞系譜をマウスから取り除くことでT細胞によって引き起こされる病的骨破壊との関連を明らかにし、目標としてきた病的骨吸収を恒常的に抑制する治療へ向けた研究へと発展させたいと考えている。本研究は、順調に進展しているので、当初の目標を成就できると思う。
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Research Products
(8 results)