2010 Fiscal Year Annual Research Report
病的骨破壊をもたらす破骨細胞前駆細胞の解析と治療への応用
Project/Area Number |
20590400
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
林 眞一 鳥取大学, 医学部, 教授 (50208617)
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Keywords | 免疫学 / 骨吸収 / 発生・分化 / 病理学 / 再生医学 |
Research Abstract |
破骨細胞による骨吸収は、恒常的な骨再構築と骨破壊を伴う病的なものある。この2つの機構を分離し、生理的骨再構築を阻害することなしに治癒を目指す骨疾患治療法の開発の為の基礎的実験を試みるのが本研究の目的である。 腹腔に蒸留水を注入することで腹腔の細胞を低張処理するとそれ以降少なくとも1年間は、骨髄細胞からM-CSFとRANKLによる破骨細胞分化誘導は半分以下に減少する事をこの研究で発見した(投稿準備中)。この減少は骨髄における破骨細胞の前駆細胞の頻度の減少ではなく、分化制御を司る細胞機構の変化によるものである事も示した。また、わずかに存在するT細胞系譜を除去することでも半減させられることを見出した。T細胞除去による破骨細胞誘導の減少は、腹腔処理したマウスの骨髄では見出されなかったため、この腹腔処理とT細胞による破骨細胞誘導制御の間には関連があることが示唆された。 破骨細胞分化には、骨髄外の腹腔に存在する細胞系譜の制御、そして、骨髄内に存在するT細胞系譜による制御により、骨吸収の量的・質的制御がなされている事を本研究が初めて示した、,この結果により、骨髄内・外の2つの機構が理解でき、その制御の標的が明らかになったので、今後、関連する細胞系譜・分子機構を解析する段階に進むことができる。この標的腹腔細胞を同定し、その特異的な除去法を開発することで、閉経期以降の女性に発症する骨粗鬆症予防を現実化できるのではと期待している。当初目標とした新しい破骨細胞制御機構の存在を明らかにすることが出来た。 慢性炎症をイメージした実験系で、Notch-Notchリガンドがシグナル分子としてだけではなく、接着分子として炎症の場に細胞を誘導・維持・放出する作用を持っている事(Murata et al.2010)、ES細胞からの破骨細胞・骨芽細胞分化誘導法についても発表した(Tsuneto et al.2011)。
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Research Products
(8 results)