2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590401
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
阿部 康人 Ehime University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30184229)
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Keywords | TOPK / 乳癌 / 増殖 / 悪性度 |
Research Abstract |
平成20年度では、予定通り、1)乳癌組織におけるTOPKの発現性と組織学的悪性度の検討、2) TOPK-Raf結合活性の生物学的意義の検討、3)TOPK-transgenic mouseの作製について実験を開始し、進行させている。 1)の免疫組織学的検討においては、すでに目標とした組織染色ならびにTOPK染色性のスコア化と乳癌悪性度との比較を行い、予想された相関性を得ることが出来た。2)のRafとの結合性ならびにその生物学的意義の検討に於いては、TOPKとRafの結合に必須である阿見さん配列部分の同定に始まって、細胞内でのin vivo結合性など詳細に検討を進行させている。さらに生物学的な活性の検討に於いても、TOPKシグナルとRaf-MAPKシグナルとの相互関係に於いて興味ある結果を得つつありその点について目下、さらに詳しく検討を進めている。TOPKはCyclinB/cdk1キナーゼ復合体に結合して、cdk1基質のリン酸化を足進する効果があって、PRC1)蛋白のリン酸化を上昇させることによって、細胞質分裂に関与するのみならず、MAPK経路とも深く関与し、p38MAPKやJNKさらにはERKなどもリン酸化させることが明らかとなっている。それに加えて今回の検討で、Rafとの結合を介してERKシグナルをさらに増強させることが次第に明らかになりつつあり、このことは乳癌増殖におけるECFレセプター/HER2シグナルの役割とその臨床応用を鑑みるときに乳癌においてTOPKが果たす役割の大きさを示唆する内容と考えている。また、3)のトランスジェニックマウスは、既に組み替え遺伝子を作製して、ベクターに挿入、それをマウスの胚に注入する作業を進めており、じきに遺伝子過剰発現マウスが獲られるものと考えて進行させつつある。以上、本年の予定は当初のほぼ計画通り進行していて、来年度のまとめの際には投稿論文にまとめて、掲載させたいと考えている。
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