2010 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄で急増するエイズの防御に向けた新規治療薬創製とヒト化マウスモデルを用いた評価
Project/Area Number |
20590403
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
大隈 和 国立感染症研究所, 血液・安全性研究部, 室長 (80315085)
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Keywords | ヒト免疫不全ウイルス1型 / エイズ / 新規治療薬 / 感染実験動物モデル / ヒト化マウス |
Research Abstract |
本研究では、エイズ/ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染症の克服に貢献することを目的に、これまでヒトの免疫機構を構築したヒト化マウスを用いて、HIV-1感染を効果的に防御/制御しうる新規エイズ医薬品候補の評価、開発を進めてきた。本年度は、医薬品候補として、VSV G遺伝子を欠損させ、その代わりにHIV-1受容体CD4、CCR5や活性化T細胞免疫刺激分子OX40Lをコードする遺伝子をゲノムに組み込んだ組換え水庖性口内炎ウイルス(VSV)を創製し、その実効性をin vitroにおいて評価した。緑色蛍光色素(EGFP)を発現する組換えHIV-1 R5株(CCR5指向性)が感染したT細胞株に組換えVSVを接種したところ、コントロールよりもEGFP発現(HIV-1感染)細胞が著明に減少し、少なくともその結果、培養上清中のHIV-1 p24量が低下し感染増殖が顕著に抑制された。重要なことに、この効果はHIV-1受容体のみの発現よりもOX40Lの追加発現により明らかに増強された。またその一方で、ヒト臍帯血由来造血幹細胞を重度免疫不全マウスに移植し、ヒト化マウスを構築した。このヒト化マウスにHIV-1実験室適応野生株を感染させて、感染実験マウスモデルを作製した。その後、HIV-1受容体CD4、CXCR4或いはCCR5を発現する組換えVSVを接種したところ、効果は限定的であるものの、コントロールに比べ血漿中のHIV-1ウイルス量、p24量が低下し感染増殖が抑制されることが分かった。さらに、実験観察期間の最終日に脾細胞を採取し、HIV-1プロウイルス量を測定したところ、同様の効果が認められた。以上のように、今回用いた医薬品候補はある一定の治療効果を示したが、今後さらにヒト化マウスを用いて、OX40h追加発現組換えVSVやHIV-1多剤耐性株等の臨床分離株も検討していく必要がある。
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Research Products
(5 results)