2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590407
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
山中 正二 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (80264604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 章 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (20381585)
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Keywords | ライソゾーム病 / 自己抗体 / 胸腺 / サイトカイン・ケモカイン |
Research Abstract |
ライソゾーム病における自己抗体産生機序の解明のために、Sandhoff病モデルマウス(SDマウス)の胸腺を用いて以下の研究成果を得た。SD患者及びSDマウスは病態の進行に伴い、胸腺の皮質部分に存在するCD4+,CD8+細胞に自己抗体が沈着し、マクロファージにより貪食され、胸腺の萎縮が起こる。更に病態の進行したSDマウスの胸腺ではB細胞のマーカー遺伝子、B細胞性遊走性ケモカインCXCL-13,及びサイトカインIL-10等がマイクロアレーを用いた網羅的解析により高発現していることが認められた。また、マクロファージを分離し解析した結果、CXCL-13等は腫大したマクロファージが分泌していることを確認した。これら各種ケモカイン・サイトカインの発現を裏付ける形で、SDマウスの胸腺では自己抗体価の上昇に伴いB細胞の胸腺への浸潤が見られ、更にB細胞の亜集団B1、B2細胞共に正常マウスに比べて顕著に増殖していることが確認された。一方、これらの一連の現象はSDマウスのFc受容体γ鎖をノックアウトしたマウスでは非常にマイルドに進行することが確認された。 これらの結果から、SDマウスの胸腺では通常のポジティブネガティブセレクションによりアポトーシスに誘導されたリンパ球をマクロファージが貪食し処理する際、代謝できないガングリオシドが蓄積することにより活性化し、自己抗体の産生を行うB細胞を誘導、更に誘導されたB細胞が自己抗体を産生することによりリンパ球の膜表面に発現しているガングリオシドに沈着し抗原抗体反応を引き起こすサイクルが繰り返されることが示唆される。 SDマウスでは蓄積により血液脳関門が破壊されており、胸腺で産生された自己抗体は血流に乗り、脳内に進入し炎症反応を引き起し、病態の進行を促進していることが考えられる。
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Research Products
(3 results)