2009 Fiscal Year Annual Research Report
NF-κB関連分子を標的とした免疫アレルギー疾患の制御
Project/Area Number |
20590411
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中野 裕康 Juntendo University, 医学部, 准教授 (70276476)
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Keywords | NF-κB / c-FLIP(cellular FLICE-inhibitory protein) / 酸化ストレス / アポトーシス / ノックアウトマウス / 肝炎 / TNFα / Fas |
Research Abstract |
我々はこれまでにNF-κBによる細胞死抑制に中心的な役割を果たす分子がc-FLIP(celleular FLICE-inhibitory protein)と呼ばれるアダプター分子であることを明らかにしてきた。本年度の研究では肝臓特異的なc-Flip欠損マウスを作製し、様々な肝障害モデルをもちいてC-Filpの肝細胞における役割を明らかにした。肝細胞特異的c-Flip欠損マウスはメンデルの法則に従って出生し、正常の状態では肝機能の大きな傷害は認めなかった。一方、野生型のマウスでは一過性の肝障害しか誘導できないような少量の抗Fas抗体投与により、激しい肝炎が誘導され、注射後24時間後には肝細胞特異的C-Flip欠損マウスは全例が死亡することが明らかとなった。肝臓の組織学的検索では、出血を伴うアポトーシスに陥った肝細胞が認められた。さらに肝臓抽出液を用いた解析からカスパーゼの活性化と、JNK(c-Jun N-terminal kinase)経路の持続的な活性化が認められた。また、還元型グルタチオン(GSH)が低下していることより、強い酸化ストレスが誘導されていることが明らかとなった。一方、TNF(tumor necrosis factor)αやConcanavalin A(ConA)を投与した肝傷害モデルでは、肝傷害は野生型マウスと比較して増悪するものの、24時間後にはほぼ正常にもどっており、一過性の肝障害が誘導されるのみであった。TNFαやConAがNF-κBを活性化するのに対し、抗Fas抗体は通常ではNF-κBを活性化しないことを考慮すると、これらの結果はc-FLIPが肝細胞においても細胞死抑制に重要な役割を果たしている事、およびNF-κB依存性に誘導される他の遺伝子がc-Flipの存在しない状況では、その細胞死抑制機能を一部代償していることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)