2010 Fiscal Year Annual Research Report
NF-kB関連分子を標的とした免疫アレルギー疾患の制御
Project/Area Number |
20590411
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中野 裕康 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70276476)
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Keywords | NF-κB / c-FLIP(cellular FLICE-inhibitory protein) / 酸化ストレス / アポトーシス / ノックアウトマウス / 肝炎 / TNFα / Fas |
Research Abstract |
抗Fas抗体投与により誘導される劇症肝炎は、肝細胞のアポトーシスと強い酸化ストレスが誘導される以外に著明な出血を伴うことから、抗Fas抗体投与による血管内皮の障害も重要な原因であると考えられている。しかしながら、その分子メカニズムは解明されていない。我々は抗酸化剤であるButylated hydroxyanisole (BHA)という薬剤をマウスに投与することにより抗Fas抗体により誘導される酸化ストレスばかりでなく、出血性肝炎が著明に改善するという現象を見出した。一方で、BHAは抗酸化剤として働くばかりでなく、肝臓で代謝され酸化ストレス応答に関与するNRF2と呼ばれる転写因子を活性化し、その結果酸化ストレスを軽減する作用のあることも明らかにされている。事実、我々もBHA投与によりNRF2経路の標的遺伝子であるNqo1やHmox1の発現が肝臓において上昇することを確認している。そこでBHAによる出血性肝炎の抑制におけるNRF2経路の役割を明らかにするために、野生型マウスおよびNrf2^<-/->マウスにBHA投与を行い、抗Fas抗体を投与した。予想外な事にNrf2^<-/->マウスでもBHAにより肝臓における酸化ストレスの改善が認められ、さらに出血性肝炎は著明に抑制された。この事はBHA依存性かつNRF2非依存性の経路が、肝臓における抗Fas抗体投与により誘導される出血性肝炎の抑制に関与していることが考えられる。劇症肝炎の治療を考える上で、その標的遺伝子を同定することは重要であり、今後マイクロアレイなどの手法を用いて標的遺伝子の同定をしていきたいと考えている。
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Research Products
(10 results)